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私は急に止まれない。2  作者: 桜 夜幾
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第〇百二話 来年も?


 それから毎日朝にウォーキングして、夕方に体操ということになりました。

 ジムを使っている方もいるようですが、食事以外で顔を合わせる時間があっても良いのではないかということになった様です。

 最初は笹村さんと二人でウォーキングしていたのですが、次の日から速水君と早良君も参加することになりました。

 船内を案内してもらいながら歩くというのが気に入った様ですよ。

「水崎様は水泳はお得意ですか?」

 笹村さんと大浴場の前に来たときに尋ねられました。ちなみにここサウナ付きだそうです。

「いえ、実は泳げないんです」

「ほぅ。ならば来年はプール付きの船にしようかね? 私が泳ぎを教えるよ」

 信三郎さんが大浴場のドアから出てきて言ったのでびっくりしてしまいました。

「ら、来年?」

「そう。奈津子がもう来年のプランをたてていたよ? もちろん陽向さん参加で」

 来年のことを言うと鬼が笑うと聞きますが、お腹を抱えて笑うくらいの早さです。下手をすると床でじたばたしながら笑うくらいですね。

 後で確認しなくては。

「奈津子ならカフェにいたよ」

「ありがとうございます」

「この船と同じくらいの大きさで、室内にプールがある船があってね。天井が開閉式になっていて晴れた日は開くんだ。楽しみにしているよ」

 雨の時もオツだけどね……と呟きながら信三郎さんは部屋へと戻って行きました。

「笹村さん、この先は変更してカフェに行きますけど良いですか?」

「はい」

 笹村さんが先導してカフェまで案内してくれます。私でも行けますが、最短距離で行くなら笹村さんについて行った方が早いですから。

 カフェに入ると、奈津子さんが陣海さんと額をつきあわせんばかりに近づいて何かを話していました。

「奈津子さん!」

 私の声に気づいて、二人がこちらをみました。

「あら、陽向さん。どうしたの?」

「どうしたもこうしたも、来年のプランって何ですか!?」

 詰め寄ろうとしたのですが、奈津子さんの隣のイスを笹村さんが引いて「どうぞ」と言われてしまい、思わず素直に座ってしまいました。

「笹村、オレンジジュースを陽向さんに」

「畏まりました」

 笹村さんが軽く手を挙げると、カフェの方がすぐに来てオーダーを取って行きました。

 運ばれてきたオレンジジュースは氷までオレンジジュースで出来ていて、なるほど溶けても薄くならないんですねぇと感心……いえいえ、今はそれどころじゃありません。

「奈津子さん、オレンジジュースじゃなくて……」

「楽しくなかった?」

「え?」

「今回の船旅、楽しくなかった?」

「楽しかったというか現在進行形で楽しいけど」

「じゃ、良いわよね」

 スケジュール開けておいてねと言われましたけど、ちょ、ちょっと待ってください。

「今回はお礼のお礼だったわよね、来年は違うだから旅費が必要でしょう?」

 お部屋が違うとしても一週間強ですから30万以上はするはずです。お友達だからって、次もただなんてことは絶対だめです!

「実はね、来年の船は新しいの。だから今年よりは人数を増やしてモニターとして乗ってもらうから」 

 用意周到でした。私の考えなどお見通しとばかりに、奈津子さんと陣海さんはニヤリと笑います。


 私の参加はすでに決定されていて変更不可だと言われました。

 モニターって何をすればいいのか、調べておこうと思います……。

 


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