第二話:MY LOVER RINA
-days-
:my lover rina
―今、俺が歩いている道はいつもの道だ。だけど、昨日とは全く違うようなきがする。気持ちがひとつでこんなにも変わるものなんだ。この道も進んで行けばいつかは終わる。人より少し短い人生だけど・・・リナ。俺はお前を置いていきたくないよ。死ぬのなんか全然怖くないと思っていたのに・・・―
―12月14日・晴れ―
あれから一週間。時は何事もなく過ぎていく。
「ねぇ、リナ今日も休み?」
リナのいない事に気付いた康は、隣の席に座っているあきらに尋ねた。あきらはあたりを見回した。
「本当だ。今日もいないね。ただの風邪ってきいてたけど・・なんかあったの?」
リナは今日で10日休んだことになる。
「いや・・・俺も風邪ってきいてるから。わかんない。」
「お前見舞いくらいいけよ。彼女がさみしがってるぞ。」
「うるせぇよ。」
その康の返答にあきらは笑って流した。教室は今日も賑やかに笑い声が飛び交う。だけど、康には何も耳に入ってこなかった。思い浮かぶリナの顔が愛おしくて、何も考えれない自分がいた。いつのまにか康にとって、リナの存在は計り知れないほど大きいものになっていた。しかし今の康には、それが苦しめるだけだった。
学校が終わると康は急ぎ足で病院へ向かった。その帰りに、リナの家に寄ろうと思っていた。しかし一歩一歩歩くたびに足取りは重くなるばかりだった。康は踏み出す足がリナとの終りに向かっている気がしてならなかった。
病院につくと康は受付へと足を運んだ。しかし、康の足は突然歩くのをやめた。
「優介さん?」
久々に見るが、昔から顔なじみな彼を見間違えるはずもなく、それは優介こと、リナの父親だった。康の父親と同世代にあって彼らは昔からの親友だった。しかし、優介は康に気付かずにスタスタと診察室へ足を運んで行った。康は何かあったのかと、興味本位で彼の入った部屋のドアをゆっくりと少しだけあけてのぞいた。
隙間からのぞくと、そこには優介だけではなく、何故かリナの姿があった。少しやせただろうか?そんなリナの背中を康は、愛おしそうに見つめた。
「先生、言ってください。もう私たちはわかってるんです。」
強気にいったつもりのリナだったが、どこか弱気に発した声に医師はまっすぐ彼女を見ていった。
「あと・・・長くて3年ですね。」
「3年!?」
いつも冷静な優介からはかんがえられない程大きな声が出た。隣に座るリナは顔色ひとつ変えずにきいていた。
「彼女はもともと体の弱い方というのもあって・・・残念ですが・・・。」
「・・・そんな。3年って・・・。この子まだ17歳ですよ?」
力なく優介は言った。そんな優介にリナはそっと肩手をやった。
「お父さん。私大丈夫だから。それに3年もあるじゃない。3年もあれば私・・・十分だよ。」
そう言ってリナは優しく微笑んだ。そんなリナに優介は言い知れぬ切なさと悔しさがこみあげて大粒の涙をこぼした。
「・・・・そんな。」
康の耳に入る皮肉すぎる会話を彼は受け入れられなかった。康は走りだした。