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愛し方なんて分からない・目の覚めるような青・ゆがんだ独占欲

3つの恋のお題:愛し方なんて分からない/目の覚めるような青/ゆがんだ独占欲


閲覧注意

それは何気ない友人の一言だった。


「最近、まぁってそわそわしてるよね」

「あ、分かる分かる。話かけてもうわの空だったりするし」

「え、そうかな?」


黙々と食べていたAランチから顔をあげると、意味深に笑う友人二人と目が合った。


「もしかして、恋かにゃあ〜」

「マジで!まぁのコイバナとか初なんですけど」

「こい……」


恋と言われて思うのは、最近頭から離れない一人の人物で、彼を思い浮かべるだけでドキドキと脈が速くなる。


「こい……なのかな?」

「え、本当に?当たっちゃった系?」

「うわー、誰?うちらの知ってる人?ちょっと、まぁ教えなさい!」


彼を見たのは、本当に偶然。

お気に入りの本屋さんが休みで別の本屋さんからの帰り道に彼を見かけた。

初めて見た時、私は固まって凝視した。

脈拍も体温もどんどん上がって、呼吸も浅くなった。

それからは毎日同じ道を通って帰る事にした。

見れば見る程、この気持ちは確かになるばかりだったけど、それが何なのか良く分からなかった。

そっか、これが恋なのか。

私の初めての恋。


「ううん、私も知らない人。名前だって知らないよ」

「何それ、通行人に一目惚れとか?」

「そんな感じ」

「発展のしよう無いじゃん」

「そんな事ないよ。帰り道は一 緒だから」

「よし、女は度胸!押して押して押しまくれ」

「いやいや、まずは知り合いになる所からでしょ。とりあえず応援してるから頑張んなよ」

「うん、ありがとう」


恋だって分かってから、ますます彼に会いたくなった。

絶対叶えてみせる!



******



「好きです」


バイトからの帰り道に突然告られた。

豊かな黒髪は腰近くまであり、清純系の大人しそうな可愛い女の子だ。

頬を赤らめているのがまた可愛い。


「え……あの誰ですか?」

「腓照大学2年の菊地真子と言います。まぁって呼んでください」


にこにこと笑顔全開で質問に答えてくれた。

俺が面接官なら即採用したであろう。


「あ、どうも扶通晋哉です」

「晋哉さんですね」


つい名乗ってしまった。

うむ、こうも笑顔の子に言うのも辛いが、いや逆に笑顔だから言いやすいのか?

とりあえず返事をせねば。


「菊地さん、気持ちは嬉しいんですけど応えられないです」


すみませんと頭を下げる。


「なぜ、ですか」


頭を下げたまま、彼女がいる事を告げ様子をうかがう。

大人しそうな子だったし大丈夫かな?


「……いわ」

「え?」

「おかしいわ彼女がいるなんておかしいわだってこんな気持ち初めてなのに今まで恋とかした事ないのにこんなにあなたを求めているのにあなたは私のものなのに彼女がいるなんておかしいわ」


うわ!

やばい人だったか。

とりあえず逃げよう。


「どこいくの」

「がッ」


なんの躊躇いもなく腹を刺された。

あまりの痛さに膝を着き倒れる。

ジクジクとした痛みと熱さが身体全体に響いていく。

このまま俺は……。

目の覚めるような青空を眺めながら、そんなことを思っていると急に空が暗くなった。

いや、あの女が遮ったんだ。


「貴方は私のなの。だから彼女なんていないの」

「おかしい狂ってるよアンタ」


浅い呼吸を繰り返す中、必死に言い返す。


「おかしい?狂ってる?分からないわ。だって恋なんて初めてだもの。他の人の普通の愛し方なんて分からないわ」


霞みゆく 目で女を真正面から睨みつけたまま、俺は気づいた。

この女狂ってるんじゃない、今の状態も引っくるめて正気なんだ。


「ふふ、これで貴方は私のものね」


女が優しく俺の頬を撫でる。


「晋ちゃんは、まぁの物よ」


誤字・脱字・その他、何かありましたらご連絡下さい。

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