エリートサラリーマン・ケーキ・夏
『エリートサラリーマン』と『ケーキ』が出てくる夏っぽいお話を書いてください。
子供を寝かしつけて、居間に戻ろうとした時それが視界に入った。
どうやら子供の夏休みの宿題らしい。
作文の宿題で、何が書かれているのか興味を持った俺は、読んでみる事にした。
なつ休みの思い出
2年3組 さとうよう太
ぼくの夏休みの思い出は、お父さんとケーキを食べたことです。
ぼくのお父さんは、エリートサラリーマンです。
なので、じゅうやくしゅっきんします。
じゅうやくしゅっきんとは、エリートサラリーマンはゆっくり会社にいってもよいということだそうです。
ぼくも大人になったらエリートサラリーマンになって、じゅうやくしゅっきんできるようになりたいです。
このまえ、しゅん太くんが「よう太くんのお父さん、ひるに公園にいたらしいよ」と言われました。
お父さんにきいたら、「外回りでつかれて休けいしてたんだよ」と言ってました。
そんないそがしいお父さんが、ケーキを買ってきてくれました。
ぼくが大好きなイ チゴのケーキで、とてもうれしかったです。
でもケーキは一つだけでした。
お父さんは、「よう太だけ食べなさい。お父さんはケーキあまり好きじゃないんだよ」と言いました。
でもずーっとまえに、いっしょにケーキ食べたのにおかしいなぁと思いました。
ケーキは甘くておいしかったです。
らい年、お父さんのお休みがあったらプールに行きたいです。
泣いた。
俺はエリートサラリーマンではない。
しかもサラリーマンではない。
3ヶ月前にリストラされたが、子供に言えるはずもなく。
ごまかして今ただのアルバイトだ。
かつかつの生活だが、夏休みに何処にも連れていってやれない罪ほろぼしにケーキを買った。
一つしか買えなかった。
あまりの不甲斐なさに鼻の奥がツンとしたが、子供は喜んで食べてくれた。
それが夏休みの思い出なんて。
カレンダーを見た。
明日で夏休みは終わり、俺も調度バイトが休みだ。
明日、プールに連れて行こう。
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