vol.5*試合観戦〜part1〜
8:40。
携帯の画面にはそう出ている。
ちょっと…早すぎたかな?
私は駅の小汚いベンチに腰を下ろすと、携帯の着信音がなった。
[優亜]
優亜からのメールだ。
私は軽い気持ちで受信ボックスを開く。
『ごめん↓↓寝坊したから先に行っててくれない?まじごめんっ!』
私は寝坊したんだから優亜は放っておこうと思い、ベンチを立ち切符売り場まで走った。
私は8:47の快速電車に乗って、聡くんのいる北中に向かった。
快速で一駅。さらにバスで20分走ると、聡くんのいる北中第3グラウンドに到着だ。
私が北中に来るのは初めてで、自分の学校以外で聡くんに会うのも初めて。
初めてなのに一人だけで来ちゃって、心細かったりもする。
はやく優亜こないかなぁ・・・。
いつの間にかバスは最寄りのバス停に到着。
走ってグラウンドまで行くと、そこには聡くんや、部のみんながいた。
―ピピィィィッッ……―
試合の開始を知らせる笛だ。
私は遠くから試合を見守っていた。
頑張れ。聡くん。
今年度の学年キャプテンと、
まだ早いのだが学年時期キャプテン候補を決める試合のようで、
練習試合とはいえみんな真剣だ。
私は北中のサッカー部を応援している女の子たちのなかに紛れていた。
みんな「隆一」「隆一」と同じ名前を連呼している。
北中のキャプテンかなんかかな?
その時、試合が始まった時と同じ笛の音がなった。
どうやら。北中が一点入れたようだ。
入れたのは…真っ黒なスポーツ刈りの、背が高いのが印象的な男子だ。
女の子たちは「隆一かっこいいー!」とキャーキャー叫んでいる。
おそらく、いや、あの人が``隆一``だろう。
私は聡くんを見ながらも、少し隆一くんも目で追っていた。
その時、ハァハァしながら誰かが私の肩を叩いた。
「ハァッ、智華ごめーん。ハァッ。」
優亜だ。
変なところで終わらせてごめんなさい!