vol.4*久しぶりの着信音
『こんにちは。片瀬智華です。梨奈子ちゃんにアド聞きました。
ごめんなさいっ☆明日サッカーの練習試合あるんですか?
頑張ってください!!それと、よかったら応援に行きたいんで、
どこでやるか教えてください。北中ですよね?では♪』
帰ってきてすぐ、こんな内容で初メールを送った。
…返事はすぐに来た。
『メールありがとう。応援来てくれるんだ。
場所は北中の第3グラウンド。俺も前から片瀬と話してみたいと思ってたから、
丁度良かったよ。じゃぁ。』
読み終わったとき、私は携帯電話を抱きしめた。
それと同時に、ベッドに寝そべり返って、今日一日のことを振り返った。
…初めての補習。微妙だったなぁ…。
いつも成績は平均以上だったはずなのに?
…聡くんのせいだよ?
『ありがとうございました^^明日行きますね!じゃぁ、また明日!』
私は数分で文を打ち、いちご柄の枕を抱きしめた。
…ちょっと寝よっかな…。
目をつぶった、その瞬間だった。
♪ピロリーン
携帯の着信音。
…聡くんかな?
私はワクワクしながら受信ボックスを開けた。
[優亜]
ゆうあ…?珍しいなぁ。メールなんて。
優亜は小学校時代の同じグループの一員だった。
何よりも自分を優先する子で、自分の思い通りになるまで事を進める…
いわゆる『自己中』だった。
けれど、私と優亜は2人組みになる時などはいつも一緒で、
優亜の自己中に耐えていた。
中学になってクラスが別れて、それ以来はあまり話さなくなった。
『やっほ〜★優亜だにょ!元気だった?突然だけど、明日一緒に北中行けませんか?
彼氏がサッカーの練習試合らしくてっ…!返事ください!』
優亜、いつの間にか彼氏できてたんだ。
一人で北中まで行くの心細かったし、丁度いいや。
『いいよ!じゃ、○○駅に9:00でいいかな?あたしも見に行こうと思ってたから!
じゃ、今からはちみつレモン作ろっと♪またね!』
…送信っと。
さてと、はちみつレモンでも作って、早く寝ようかな。
私は台所へ向かった。
…この時は…まだ、これっぽっちも思っていなかった。
親友だった優亜と…
あんな事するなんて。