vol.11*先輩の過去〜part3〜
さっきの店員さんは、足早に私たちの所へ来て、注文をとり始めた。
「このショートを二つ。」
真琴先輩はメニューに載った写真を指さしながら言った。
「それと、ホットコーヒー二つで。」
「え、あたしコーヒー飲めない。」
私と先輩が目を見つめあっていて、そこに店員さんが不思議そうな顔をしていた。
「ぷはっ!智華ちゃんコーヒー無理なんだぁ!なんか意外かも。」
次の瞬間、先輩はぶっ、と吹き出して笑っていた。
「…コーヒーを一つやめて…オレンジジュースにしてください…」
先輩はまた吹き出した。
「ぷはっ!オレンジかよぉ…!智華ちゃんかわいいんだけど…!」
私は恥ずかしくて熱くなってきた耳を触りながらそっぽを向いていた。
「では、ご注文は以上でよろしいですか?」
店員さんはにっこりと首を傾げた。
「はい。」
真琴先輩が答えた。
「では、ご注文の確認をさせて頂きますね。
苺のショートケーキが二つ、ホットコーヒーが一つ、オレンジジュースが一つ。」
店員さんがオレンジジュースと発した時に、
真琴先輩はちらっと私の方をみてクスッと笑った。
「では、ごゆっくりどうぞ。」
店員さんは奥の方に去ってゆき、真琴先輩の携帯の着信音が鳴った。
♪ピロリローン
私はその音に反応し、目を丸くし興奮気味で先輩に話しかけた。
「あぁぁっ!それぇっ!You and Iですかぁ!?
先輩、まさかMAKIKO知ってますかぁ?あたし超ファンなんです!」
興奮気味で、思わず声が大きくなっていた!
「え、智華ちゃんMAKIKO好きなの!?…実はあたしも…!」
MAKIKOとは、数年前にデビューしたばかりの女性歌手である。
20代前半で、主にファンは中高生。
シングルCDは大きな売り上げはないが、毎回オリコン8位くらいに入っていて、
私が唯一シングルCDの発売を楽しみにするアーティストだ。
「実はね…彼氏も…MAKIKOの超ファンでさぁ…」
その時、先輩の話をさえぎるかのように、あの店員さんがやってきた。
「お待たせしました!苺のショートとホットコーヒーと、オレンジジュースでございます。」
早口で説明を済ますと、
「ごゆっくりどうぞ〜。」
店員さんはすぐに行ってしまった。
「じゃぁっ…食べよっか!」
「…はい!」
私と先輩はフォークを持った。
読んでいただきありがとうございました。
こんな細々としたスペースまで目を通して頂き、本当に有難うございます!
実は来週学校の方でテストが入っており、今まで以上に更新が遅くなるかもしれません;;
出来る限り更新しますが、やむを得ず更新が出来なかった日はお許しください。
いつも応援してくださる読者様の方、本当に感謝でいっぱいです。
では、これからもよろしくお願いします。