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第十八話
戦闘ものというのは忘れてはならない
足がない。本当に。
這いつくばらなければならない。
トンネルを抜けるとようやくさっきの意識に戻ってこれた。
これがいわゆる精神世界というものだったのかな。
「大丈夫?」
やや早口で心配された。
多分大丈夫だ。
私は少し前の反省を生かそうと思った。
今でもあの事を思い出すと胸が痛む。
相手の後ろに回り込んでもらい気を引き付けてそこを叩く程度なら大丈夫だろう。
その通りにはできたけどなにか引っかかる。
鈍い音がした。
なんかもういい音だと考えた自分は狂気じみているだろう。
十分痛そうなのにまだ戦おうとしてくる。
健気というんだったかこれは。
これだけ打たれ強いなら社会に出ても大丈夫そうなのにね。
でもこのままでは通行人に顔を覚えられてしまうだろう。
罪人+行方不明者なのだから顔を覚えられてしまっては後で大地獄を見てしまう。
駅と隣のビルの隙間に連れ込んだ。仕方がない。
駅と隣の建物の隙間はやはり万能だ。
さてここからどうしようかな。
さてここからどうしようかな。




