第十話
「あれなら私パソコンあるからこっちのにする?」
「じゃあそっちにする。」
そう言えば由紀が荷物を開いてるのを見たことがなかった。
由紀のパソコンを準備し、イベントがついに始まった。
垂れ流しで平気だから案外暇だった。そろそろ悪魔を探してもいい頃合いかな。
「ちゃんと流れているか見に行ってきます。」
「はーい。頼んだよー。」
おいおいPTA委員さんそんなノリで大丈夫かい...まあいいや。
靴を履き替え、外に出た。
が、遭遇したのは、通り魔のようなものだった。
「危ないっ。」
「取り逃したか。」
すでに私の首元には刃物が突き付けられていた。
これがもし人違いだったら菓子折りでも持って謝ってくるのか。
そうでもなさそうだ。
現実を受け止め、戦闘態勢に入る。
今できることを、最大限する。
相手の背後に回り込み、フェイントを出しながら相手を後ろに下げさせる。
間合いを詰め、背中にパンチを入れたが、避けられナイフの刃先が私の胸に突き付けられた。
不思議なことに反射というものはこういうタイミングであっても手を近づけてしまうものだが、それによってかナイフは跳ね返された。
まるで壁があるように。
「こうなったら、もういちいち驚いていられない。」
私は、目の前に集中した。




