第5話 ギルド
ギルドへの道中面白いものを見つけた。
それはカジノ場である。
運営しているのがNPCかプレイヤーかは分からないが面白いことにこのカジノではスキルが使えるようだ。ダイスを使うゲームで軽重操作が使えれば相当強いだろうな。
だが所持金があまりない俺はカジノは一旦諦めギルドに向かう。
ギルドの建物が見えてきた。
念の為武器スティックをナイフに変えて中にはいる。
「いらっしゃいませー
冒険者登録はこちらです。」
いかにもNPCっぽいお姉さんが俺に話しかけてきた。
「冒険者登録とは何ですか?」
「冒険者登録はギルドから発行される身分証のようなものになる『ギルドカード』に入力する諸事項の登録です。
ギルドカードがなければダンジョンに入場できませんしギルド内での取引、ギルド機能の利用、ギルドからの依頼受理等のギルドを必要とすることが何も出来ません。」
なるほど。
登録しておかないと明らかに損なので手早く登録を済ませる。
「じゃあお願いします。」
「こちらの記入事項を全て書いて私に渡してください。」
登録は五分ほどで終わった。
プレイヤー名や自己紹介文。
あとは簡単な質問に答えた。
「こちらがギルドから発行されるギルドカードと冒険者様に合わせた精霊と武器になります。」
『ナイフを獲得しました。
バックの残り容量
100/100
バック容量を超えますので捨てるアイテムを選択してください。
おすすめ
ボストレントの端材×1』
『闇精霊をテイムしました。
名前を決定してください。
◀︎』
2本目のナイフと2体目のテイムをした。とりあえず捨てるのはボストレントの端材でいいとして名前をどうするかだな…
闇の精霊…ダークエレメントでいいや。
「次にギルド機能に関する説明を行います。
まずはアイテムの売買。
ギルドカード所有者のみがギルドで売買を行うことが出来ます。
プレイヤーから仕入れたアイテムをギルドで売るので冒険者様に大してその素材の発注がかかることがあります。
次にダンジョンについてです。
ダンジョンの多くは入口にギルドが運営している管理所がありそちらでプレイヤーの実力にあっているかを確かめ入場を管理しています。
また近くにアイテム換金所があるのでそちらも是非利用してください。
そしてギルドの作成。
私が今まで話していたギルドは『冒険者ギルド』つまり戸籍のようなものです。
ギルドの作成とはこれとは別にチームギルドというものを作ることが出来ます。
チームギルド内のメンバー同士で様々なことが出来ます。
他にも細かいものはありますが主要なものはこんな感じですかねー。」
なるほど。思ったよりメリットが多そうだ。
登録を済ませた俺はギルドにてアイテムの売買を行った。
武器、防具、レアドロップ品以外のアイテムを全て売却し9万ゴルドを手に入れた。
その後購入コーナーにて子竜のアームガードと黒の染料、粘着糸を合計8万ゴルドで購入した。
アームガードはそのまま装備することで使えて粘着糸は壁などに先を付けてジャンプして引き寄せることで空中起動ができるものらしい。
俺の軽重操作があれば高い空中起動能力を手に入れることが出来ると思い購入した。雷鎖もあるので森の中での移動はとてつもなく早くなるだろう。
そして買って直ぐにギルドの作業場で粘着糸とアームガードを黒く塗った。
これは完全なる俺の趣味で強さにはかかわらないがデフォカラーは嫌なので塗っただけである。
「兄ちゃん。夜月のファンかい?」
知らんおっさんに声をかけられた。
夜月という名前は聞いたことがある。
というか刀弥の弟だ。
でも多分違うと思うので聞いてみる。
「夜月って誰ですか?」
「『蜘蛛糸』て言うスキルを持ってるプレイヤーなんだが糸さばきがすごくてな。
プレイヤーキラー5人相手にそのスキルと短刀1本だけで勝ったらしいし、星3ダンジョンをそのスキルとプレイヤーキラーから奪ったスキルだけで単独制覇してたりでこのゲームの糸使いの中では最強の男だ。
確かランキングでも上位100位に入ってるらしい。
夜月の影響で蜘蛛糸に似た性質を持つ粘着糸を購入する初心者が多くてな。
でも大抵のやつは使いこなせなくて結局ボウガンや片手剣を使い始める。
ま、俺も夜月のファンでさ、一時期粘着糸で戦ってたんだけど自分に絡まったり敵に上手く当たらなかったりで大剣使いになったわけ
今では粘着糸は弱らせたモンスターに巻き付けるぐらいでしか使わんよ。」
夜月は昔からテグスを使って刀弥にイタズラをしていたらしいし俺たちが不良に絡まれた時も部活帰りで竹刀を持ってた刀弥と一緒にヨーヨーで返り討ちにしてたし糸の使い方は上手いだろう。
刀弥の家は江戸時代の武士の家系なので短刀の扱いも多分うまい。
刀弥は剣道部で夜月が手芸部だったかな?
まあそのランキング上位の夜月と俺の後輩の夜月は同一人物だろう。
「なるほど…俺は移動用に粘着糸を買いました。」
「体重が相当軽くないと粘着糸で空中起動はできねえぞ?」
俺には軽重操作があるから大丈夫。
「まあ何とかなりますよ。」
この話とは関係ないがこのゲームは随分作り込まれてるみたいで塗装するのにも自分で手にアイテムを持って細かく塗っていかなければならない。
アイテムに細工を施すことは出来るのだろうか?
例えばショップに売っていた捕獲網に毒薬を塗ったり。
塗料にはアイテムの詳細を見た時に作業場で塗装可能と書いてあったが書いていないアイテムに細工はできるのだろうか?
まあ次に金が入ったら試してみよう。