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第二十八回 ダイアに呼ばれた。


 ダイアに呼ばれた。会うのは監督と争ったあの会議以来だ。一週間も音信不通だった。その間にダイアが何をしていたのかチハルにはさっぱりわからない。それでもだいぶ体を酷使していたのが彼の疲れた顔から見てとれた。美しかった長い髪もはねて乱れていたり、汗と油がくっ付いて妙な艶があった。

 誰もいない部室の中で二人きり。ダイアは座る間もなく話した。


「前に言った宣伝の話はなしだ。学園はそんな大金は払えないとさ」


「そうですか」


「しかし僕は将来役員の席が約束されている。だから後には引けないんだ」


「しかし方法がありますか?」


「ある」


「それは?」


 するとダイアはチハルを見つめて、じりじりと詰め寄ってきた。


「バズるのさ。注目を集めるんだよ。若い子は何を望んでいるか。君たちの周りで流行っているのはなにか。……恋だよ!キスするのさ。抱くんだよ。カメラの前で!」


 チハルは壁まで追い込まれ、逃げ場がなかった。


「誰が……ですか?」


「君と僕さ」


「え?」


「嫌とは言わせない。これも社会勉強だ!」


「嫌です!」


 ダイアは肩を強く揺さぶった。


「命令だ!お前に拒否権はない!」


 するとダイアは激しく咳き込んだ。口をおさえた手のひらに赤い鮮血が付く。崩れるように座り込む。咳は止まらない。チハルは無我夢中にその場から逃げた。

 

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