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第十五回 チハルはムッとした。


 チハルはムッとした。いい迷惑だと思った。人には人の人生がある。それを彼は押し付けようとしているんだと思った。

 なかなか頷かないチハルにダイアはまだ説明を付け足した。


「就職、僅かばかりの昇給、定年。それでおしまいさ」


「なにがですか?」


「サラリーマン生活がさ」


「それがどうしたんです?」


 ダイアは黒板のほうへふり向いた。そしてチョークで数字の列を書き綴りながら、こう説明した。


「仮に僕が将来、大学を出て23で入社する。65歳まで40年間順調に勤めるとして、年1回の昇給と年2回のボーナス、退職金を加算して、1億6千万円。そこから税金、保険料、僕並びに将来の妻と子供の生活費、これらを引いて残るのは800万円だ」


「はぁ」


「一生働いて、たった800万円だ。ピカキンの週給500万円だってさ」


「う、うん」


「僕は食べていくためならなんだってする。絶対にスターになる!」


 チハルの心は揺らいだ。この人は私と対照的すぎる。彼についてくることでしか見れない景色を見てみたいと思った、

 こうしてチハルはダイアのマネージャーになった。


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