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第十回 すると、噂をすればで


 すると、噂をすればで、ダイアがチハルのいるクラスにやってきた。

 放課後の空席が目立つ教室にダイアはなんのためらいもなくずかずかと侵入し、窓際で座るチハルたちの前で止まった。

 先ほどまで散々騒いでいたミドリとアオは、いざ目の前に現れたダイアに、慌てふためいて全く動かなくなった。

 ダイアは二人には目もくれず、じっとチハルを見つめていた。


「君が夕都(ゆうみや)チハルかい?」


 凛とした爽やかな声だった。急に名前を呼ばれたチハルは戸惑う。


「え……なんですか……」


「君、部活はまだだってね。僕はサッカー部で、マネージャーを探してたんだ。なってくれるかい?マネージャーに」


 あまりに急な誘いだった。チハルは返答に困った。頼りにミドリとアオを見たが、二人とも意識不明だ。

 どもっているチハルにしびれを切らしたダイアは腕をひっぱった。


「来たまえ」


 チハルは抵抗しようとしたが、そんな勇気もなく、


「いいから来たまえ」


と、言われるがまま従うしかなかった。

 チハルを連れ去ったダイアが教室を後にする。するとアオとミドリは息を吹き返した。


「入学早々ご指名を受けるとはね……私もはいっとけばよかったなぁ、サッカー部」


「あっ!しまった。チハルは胸毛のこと聞いてくれるかなぁ」


 二人は口惜しそうにぼやいた。

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