第四章~エースへ~
部隊のエースに成る為には、幾つか乗り越えなければならない"ハードル"が存在する。それも普通にやっていては乗り越える事すら出来ないものである。
まず、そう成る為の前提条件として、100戦以上のミッション参加がある。100戦ものミッションに生き残れると言う事は、最低条件の一つである。それはそれだけの戦闘技術を持っている目安にもなる。
エースの条件は他にも幾つかあるが、エースの定義は曖昧である。では、エースがたくさん部隊にいれば良いかと言われれば、残念ながらそうとも言えない。
エースと言う存在は、部隊の絶対的大黒柱である事に相違は無い訳であるが、同時に複数人の人間がエースに成るケースは稀である。では何故部隊にこの様なエースと言う人種を設けているのか?
答えは簡単である。まず第一に兵隊のモチベーションを一定に保つ事。そして、もう一つは部隊の実力を上げる為である。エースを部隊に置く事は、そう言う効果がある。無論、エースの存在理由は他にもあるが、沖矢はとりあえずこの連邦軍の定めるエースになって見る事にした。
部隊における出世には全く興味は無かったが、こうして強さの象徴であるエースに成る事が沖矢のモチベーションになっていた。沖矢の様に出世には興味が無いが、己の強さに興味・関心を持つ人間の事をエンプラーダと言う。エンプラーダの資質を持つ人間の多くが、連邦軍において過去にはエースとなっている。
エンプラーダである人間の多くは、部隊において己の強さが正当に評価される事を望んでおり、実際に彼等は強い。ただ強いだけではなく、その実力は抜きん出ている。あくなき向上心の中にあって、自分の実力が一体どんなものになるのかを知りたがっているエンプラーダは事の他多くいる。しかしながら、まだ連邦軍はエンプラーダの秘密を秘密を知り抜いている訳ではない。




