一気呵成に決めろ!
作戦名「アシタノキャリア」は直ぐに実行された。ゼロフォースはたった18人で2隻のイージス艦リーゴンとエンパイを制圧した。海上方面軍と海兵師団の見事な連携もあり、中国海軍No.3の東海艦隊の主力空母テンホウを撃破。僅か数時間の内に中国海軍東海艦隊を消滅させた。
日本連邦軍が公式では初めて中国海軍の艦隊撃破を認めた海戦であった。危機感を強めたのは他ならぬ中国である。僅かばかりの兵力で東海艦隊を沈められたからである。このままでは、実力No.2の南洋艦隊と中国海軍最強の北洋艦隊を合わせても良いとこどっこい、か負けると悲観的に戦況を見ざるを得なかった。その予想はあながち間違っておらず、今の制海権は日本連邦軍が握っていたのである。
そんな日本連邦軍ではあったが、緊急事項もあった。それは、大量の中国陸軍の存在である。中国は伝統的に陸軍大国であり、兵力だけでも単純に日本連邦軍の4~5倍以上はある。だから、いくら制海権を取れても、それでこの戦争に勝ったと決め付けるのは、時期尚早であったのである。それに加えて中国空軍戦力も侮れなかった。日本連邦軍としては、とりあえずより強大な実効支配を続ける為に、海→空→陸と段階的な制圧を進める事にした。上回っている所から確実に潰して行くのが、定石であり必勝法でもあった。
まだまだ戦争は始まったばかりである。この先の戦いは、よりハードな内容のミッションも出て来るだろう。それらのミッションは戦略的に行われたものでなければならない。日本連邦軍としては、少しずつ少しずつ制圧を進めると言うコツコツ作戦よりも、一気呵成に勝負を決める為の布石を敷きながら、それらを同時に突破。繋げて一気に勝利をもぎ取ると言う作戦が、望ましかった。それらの作戦を考えるのは、連邦軍作戦本部(RSH)の役目であった。ゼロフォースも他の部隊も、それらを忠実に実行する為の駒にしか過ぎないのである。その駒としてようやくゼロフォースはスタートラインにたったのであった。




