第ニ章~連邦軍入隊~
沖矢俊才は日本連邦軍陸上方面軍第0歩兵小隊(通称ゼロフォース)へと入隊した。階級は下士官の最上位である兵曹長であった。入隊してから3ヶ月間の訓練期間を経て、それが終わると同時にゼロフォースの最前線に送られた。
とは言え、ゼロフォースの出撃を判断するのは連邦軍最高司令官青流星斗元帥であり、部隊の指揮官である十文字少佐ではない。いくら戦闘センスのあふれる16名の精鋭とは言え、まだダイヤモンドの原石。磨きをかけねば光らないのと同じである。その研磨の期間を3ヶ月で行うと言うのだから、中々連邦軍も無茶をする。
基本的な事から応用的な事まで、ゼロフォースの一員である為に必要なスキルを身に付ける為の教育が施される。その上でより実戦的なありとあらゆる場面に対応出来る様に、想定をしながら演習を重ねた。並の歩兵なら、6ヶ月はかかるプログラムをゼロフォース兵士は3ヶ月で仕上げねばならなかった。しかも、青流星斗元帥の命令があれば訓練途中でも出撃せねばならなかった。
何よりも前例がないと言った事が沖矢達を不安にさせた。自分の強さには絶対の自信を持っている。だが、組織で戦うにはそのスキルはまだ無い。訓練を重ねる事で解消して行く事ではあったとしても。
ゼロフォースを教育するのは、第3教育師団である。教育師団は全国に4つある連邦軍の教育施設であり、第1、2、4教育師団は主に陸上方面軍や海上方面軍や航空方面軍や海兵師団と言う一般部隊の教育を任せられている。第3教育師団はゼロフォースの様な特殊部隊教育用に作られた教育師団である。連邦軍の特殊部隊はこの秘密のベールに包まれた教育師団で短期間教育を受けている。
第3教育師団の特色は何と言っても、速成即戦力である。短期間で三流兵士を一級品にまで昇華させるだけの教育ノウハウを第3教育師団は保有している。例えそれが、史上最強候補のゼロフォース育成であったとしても、いつも通りにやるべき事をやってさえいれば、自ずと実力は洗練されて行く事を第3教育師団は知っている。




