03 想定外のバグ
お話が動きます。
「ええ〜っ!!ってことは新たな攻略キャラが!?!?」
「そういうこと!もう追加コンテンツもダウンロード出来るはずだからいつでも出来るはずだよ。いっそ今からやっちゃう?」
私はいたずらっぽく微笑みながらカノンの反応を待ちました。
けれど、カノンはなんだか浮かない表情です。
「うーん……。私はいいんだけど、ユウリにとってはネタバレになっちゃうでしょ??それは嫌じゃない?」
なるほど、私に配慮してくれてたんですね。
やっぱり優しいなぁ、カノン。
「そんな事ないよ。私は出来ればカノンと一緒にやりたいくらい。なんでもそのキャラって攻略がかなりハードらしくて……。私一人じゃ不安だから、良かったらカノンの力を貸して!」
そう言って私はカノンの前で手を合わせてお願いしました。
すると、先ほどまで心配そうだったカノンの表情がみるみる変化し……。
「うん、そういう事ならOK!乙女ゲーマー2人が敵に回るとどれだけ怖いか、相手に教えて差し上げましょう!」
ん?待って。待って。カノン違うよ。攻略キャラは敵じゃないですよ〜!
心の中でそう叫びながら、私はカノンがゲームを起動している様子を見ていました。
……
「やっとダウンロード終わったよ〜!じゃ、やりますか!」
「やった!レッツゴー!!」
こうして私達は新たなキャラクター攻略の旅へと出発しました。
が、なんだかゲームの様子がおかしい?みたいです。
最初は小さなノイズ音が聞こえる程度だったのですが、段々とノイズが大きくなり、映像にも乱れが出るようになりました。
「カノン…… これ仕様なのかな?なんかたまにノイズが入ってるみたいなんだけど……。」
「分かんない…… 追加コンテンツが実装されてから日も浅いし、不具合なのかも……。」
「とりあえずこれ以上遊んでデータが飛んだら取り返しがつかないし、電源切っとこうか……。」
私にそう言われて電源ボタンに手を伸ばしたカノンの顔が何故か引き攣っていました。
「…… ない。」
「………? カノン……?」
「消えない……。どうしよう、電源が切れなくなっちゃった!!」
「と、とりあえず一旦落ち着こ!ね!大丈夫だから!」
パニックになったカノンの背中をさすっている間もノイズはどんどん大きくどんどん鮮明になってゆき、そしてハッキリと聞こえました。
「タス…ケテ……」
「助けて……?」
そう私が聞き返した瞬間、ゲーム画面から眩いばかりの光が溢れ出し、私たちを包み込みました。
……
気がつくと私はしらない建物の中にいました。
(寺院とか教会……?もしくはお城の中かな……?私あの後眠っちゃったのかな……。)
寝ぼけていてはっきりしない頭でそんなことを考えていると、不意に周りからどよめきや歓喜の声、拍手などが聞こえてきました。
「誰!?」
私は一瞬で覚醒し、身を強ばらせました。
私が大きな声を出したことで横にあった何か―――― カノンがモゾモゾと動きだし
「どうしたの〜?」
と目をこすりながらこちらを見つめてきました。
そしてその瞬間、カノンの目が大きく見開かれました。
「ここ、どこ……?この人達、誰……?」
カノンは恐怖で顔を歪めながら私に尋ねます。
しかし、その問いに答えたのは私ではありませんでした。
「聖女様、よくぞいらっしゃいました。私どもは貴女様をお待ちしておりました。」
1話の長さはちょうど良いでしょうか?それとも短いでしょうか?
ご意見を頂けましたら反映させて頂きたく存じます。
宜しくお願い致します。