8.転生王女推しに会う。
専属侍女のベリル他、侍女数人がかりでドレスを着せられる。
ドレスの色は、淡い空色に黄色のリボンがところどころちりばめられたもの。
晴れた空色のルーク王子の瞳の色に、金髪の黄色のコンビネーション。
うん、全身あなた色ってやつですね。
すごい独占欲が見え隠れ……いや、炸裂してて隠れてなかったわ。
いつの間にこんなドレス贈られてきてたんだろう。
淡い空色のドレスは、マリーの銀色の髪に良く映える。
うん。
鏡を見てマリーは満足そうに頷いた。
どっからどうみても美少女! やったね私! これで推しのルーク王子を夢中にさせるぞ!
るんるんでルーク王子の待つ薔薇の咲き誇る庭に用意された席へ向かったものの、先に紅茶を優雅に飲みながら待っている推しの姿が、あまりにキラッキラで眩しすぎてマリーは撃沈した。
キラッキラじゃん! 眼がー眼がー。
うん。
知ってた。だってメインヒーローだもん。
かっこよすぎーーー!
悶えて転げまわりたくなるのを何とかこらえた。
我慢できる私ってばすごい!
っていうか、そもそもなでなでミッションなんて、クリア出来なくね? 無理じゃね?
あのご尊顔に触れるとか無理が過ぎる。
取り敢えず、少しずつ距離をつめるか……。
ああ、推しが尊すぎて目がつぶれそう。
ずっと固まったままのマリーを不審に思って、同席していたお母さまから声がかかる。
「マリーご挨拶を」
すっと、カテーシーをしながらご挨拶。マリーはやればできる子! ということにしておいて。
「お初にお目にかかります。フロージア王国第一王女 マリー=フォン=フロージアと申します」
顔をあげてにっこり微笑んでおく。
「丁寧にありがとう。僕は、ルーク=フォン=アークライト。アークライト王国の第一王子です。ルークと呼んでくれたら嬉しい」
にこっと笑った殿下の笑顔が可愛いぃぃぃ! 眼が眼が~。
危ない本当に、目を覆っちゃった。
不審そうに見られたわ、失敗。
お母さまからも呆れた視線を感じるスルーしようっと。
「ルーク様、では私のことはマリーと呼んでください」
「マリー、婚約者としてこれからよろしくね」
「はい! ルーク様」
う…やっぱり、推しが眩しすぎる!
思わずまた目を覆ってしまった。
「マリー、さっきからどうしたの?」
ああ、推しに不審がられている。
だって、笑顔が眩しいんだもの!
「ルーク様が眩しすぎて」
うっかり本音が出た。そこ、王女があほだとか言わないで。分かっているから。
恥ずかしすぎて、まともに推しが見れない。
「殿下、ごめんなさい。うちの王女ちょっと…、かなり? 変わっていて」
お母さま、かなりって言いなおしましたね。ひどい!
「いえ、陛下。僕の婚約者のマリーが可愛く楽しそうな方でよかったです」
推しは天使かなにかですか? 公式のツンデレ設定どこいった?
めっちゃかわいくて良い人!
推しの笑顔をこのまま守る。そのためなら何でもする!
推しの笑顔は世界をすくうのよ!
マリー…推しが尊い! ツンデレになんかさせるもんか ←イマココ
ルーク…婚約者って変な子だったな(笑)そういえば、ちゃんと顔見てないや←イマココ