⒍転生王女は策略をめぐらす。
栞を挟んでくださっていてありがとうございます。
アレク兄様とランディは、やっぱりゲーム通りだったわ。
ふぅっと、ため息を吐いて紅茶をひとくち飲む。
ああ、この時間はほっとする。
王室でのみ使われている高級な茶葉の香り高い紅茶が癒してくれる。
マリーは、自室でペンを片手に「攻略ノート」と書かれた紙に今日の詳細を日本語で書いていく。
1…アレク兄様
属性……シスコン
対策……今のところなし。
2…ランディ
属性……ドM
対策……今のところなし。
ここまで、書いてマリーは今のところ対策らしいものがないことに気がつく。
それ以前に、詳細なんてものもないけどな!
アレク兄様のシスコンフラグは、折る方向で!
と思っていたけれど、シスコンじゃなくなったら、牢屋よりもっと酷い目にあうかも知れない……。
それは、嫌だ。
うん、コレは全力で回避しよう!
兄様のシスコンを利用して、待遇改善をお願いした方がいいかもしれない。
私ってば天才! やったね! 兄様とったどー!
ばっと両手を上げたら、侍女のベリルに咳払いをされた。
おおう。
危なかった。
王女様の仮面が脱げるとこだったよ。
さて、ランディは……ドMか~。
これは、放置でも良いけど。
私の精神衛生上良くない、全く良くないぞ!
その内、「マリー様、足を舐めさせてください!」
とか言われたら、どーすんだよ!
私はどこぞのクラブの女王様じゃないしな。王女様だけど。
うん、こっちはボチボチ矯正していくかな。
それにしても……なんでドMになったんだっけ?
マリーは前世の記憶を掘り起こす。
ええっと、ランディは侯爵家の次男だったはず。
ただ、養子だった。
そこで、確か扱いが酷かったとか、サラっと設定集に載ってた。
ドMになる扱いって……。
マリーは、若干遠い目になる。
ただ、ランディは、マリーを最後まで見捨てないんだよね。
ドMだからか、悪役令嬢が好みだったからか分からないけど。
なんか、虐められているヒロイン見て、正義感から庇うって言うより、マリーに罵って欲しくて、そうしていた気がする。
罵られて目が活き活きしてたしな。
うん、ランディの所に追記しておこう。
2…ランディ
特徴……ドM・変態
対策……処置なし
ランディに関しては、ドン引きはするけど、対策は特にいいか。
マリーは、攻略ノートを閉じた。
本文には出てこなかった裏メンバーの声
侍女ベリル……あ、マリー様バンザイってお可愛らしい。
ランディ……マリー様が書いている紙になりたい。←イマココ