2.転生王女は確認する。
---はっ! リセット出来たの?!
自分の声で目を覚ましたマリーは、辺りを見渡す。
そこは、先ほどまでいた卒業パーティーの会場ではなく、マリーの自室。
白とピンクを基調とした女の子らしく可愛らしい部屋。
まだ起きるのに早い時間らしく、部屋には侍女も護衛騎士も居ない。
取り敢えず、まずは確認とばかりベッドから起き出し、鏡へと走る。
走って……鏡を見たマリーは、頭を抱えた。
全身を映せるほどの大きな鏡に映っていたのは、背中まであるふわふわの銀の髪にアメジストのような紫色の瞳、肌は透き通る程白く、ぷるっとしたピンク色の唇の美少女の姿。
間違いなく、前世でプレイしたゲーム「王子様はお好き?」のライバル王女マリーが鏡に映っていた。
それにしても、よりにもよって……。
---悪役王女マリーになってるなんて、何でなのぉぉ!
彼女の叫び声が、王宮に響き渡る。でも、唯一違う点。
それは、彼女の年齢だった。
明らかに、記憶の彼女より幼いのだ。8歳くらいではないだろうか。
王立学院で、ルーク王子や攻略キャラと恋愛を繰り広げるのは、マリーが16歳の時だった。
---よっしゃー! リセットきたー!
マリーは、およそ淑女らしくない叫びを心の中であげた。
8歳だとしたら、学院に行くまで、あと4年の猶予がある。王立学院は12歳から通うことになっている。それまでに、対策を立てることが出来る。マリーは、ウキウキと前世でプレイした知識をノートへ書き出していくことにした。
ノートのタイトルは、ズバリ「ザ・攻略! 王子様はお好き?」だ。ゲームの攻略本もといノートを作る日が来るとは、人生何があるかわからない。
ゲームの世界で、ゲームを攻略するために、マリーは、香として知っている知識を書き出していく。
まずは、ルーク王子のルート。彼のルートの最後を思い出す。彼に婚約破棄されたあと、マリーは牢に入れられてしまうはず。牢に入れられたあとは、ゲームでは語られなかったけれど。出来ればそんな所へ入るのは遠慮したい。
ルーク王子の詳細をまとめたところで、侍女に声を掛けられマリーはノートを閉じた。
読まなくても大丈夫な時々漏れる心の声。
侍女…マリー様、聞き慣れない リセットとかいう声がしたのですが気のせいでしょうか? 声をかけた時隠された「攻略」と書かれたノート…気になる。←イマココ
読んでくださりありがとうございます*ˊᵕˋ*
次回は、8日12時更新予定です。