1.転生王女は思い出す。
「マリー……君との婚約は今日で解消させてもらう。ダイアナへの数々の愚行を忘れたとは言わせない」
マリー=フォン=フロージア……フロージア王国第1王女は、フロージア王立学院の卒業パーティーで、婚約者である隣国の第1王子であるルーク=フォン=アークライトから、婚約解消を言い渡された時……全てを思い出した。
彼女……王女マリーは、前世でプレイした事のあるゲームに転生したことを。
この世界は、マリーがかつて、日本でプレイしていた乙女ゲーム「王子様はお好き?」だと言うことに。
そして、彼女はそのゲームでは、ヒロイン・ダイアナのライバルである悪役王女だった。
「王子様はお好き」は、とても人気のあるゲームで、攻略対象は、多岐に渡りそれぞれのグッズも販売されていたほど。
中でも、ルーク王子は女子のあこがれをこれでもか! って詰め込んだほど非の打ち所のないキャラで、1番人気だった。
マリーの前世である26才恋人なしの香は、「王子様はお好き?」の大ファンで、OLだった彼女は、会社から帰ると、ご飯……時には、寝ることも忘れて、この乙女ゲームを楽しんだ。
もちろん、香もグッズも色々購入した。更にファンディスクを買い、イベントチケットを手に入れ、お気に入りキャラの声優が出演するイベントへも参加するほど、ゲームにハマっていた。
中でも、ルーク王子は香が一番好きなキャラ。
ルーク王子は、淡い金髪に、優しさを湛えた海のようなブルーグリーンの瞳。身長も高く、性格はちょっと天邪鬼な所が乙女心をくすぐり、みんなのあこがれ。天邪鬼な彼を攻略するのは1番難関だった。
全てを思い出したマリーは、打ちひしがれる。
―――しまったー! 私……悪役王女ぉ! よりによって……何でなのぉぉ! だ、誰か。嘘だと言って。リセット、リセットぉぉ!
マリーの叫び声が、彼女の私室に響き渡った。
読んでいただきありがとうございます。
こちらのジャンルは初ですが、楽しんで書かせていただきます。
次回は、7日12時更新予定です。