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スティールスマイル  作者: ガブ
第三章 もう一人のゼロ
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episode 98 「ボス」

ジャングルのような道を抜けていく五人。


(ここにお風呂なんてあるのかしら)


不安を抱えるセシル。


「そういえば何でこの島に上陸したんだい?」


ワルターの投げ掛けた疑問にドキッとするセシル。とてもお風呂に入りたいからですなどと言える雰囲気ではない。


「そ、それは……」

「俺が食料調達をしたいと申し出たのだ。魚ばかりでは栄養が偏り、お嬢様の健康を阻害しかねんのでな」

「そうかい。大変だね君も」


セシルに代わって質問に答えるオイゲン。


(グッジョブですわ、オイゲン!)


セシルはオイゲンにアイコンタクトを送る。


ジャングルを抜けると小さいながらも集落のある広場に出た。続々と先程襲ってきた男たちと同じ格好をした男たちが家から出てくる。なぜか男だらけで女は一人もいない。


男たちがゼロたちのことを噂している。どうやら先程襲ってきたのは彼らの中でも戦闘タイプらしく、なぜゼロたちがここまで踏み込んでこれたのか不思議なようだ。


それでも男たちは武器を取り、ゼロたちめがけて襲いかかってくる。


「やれやれ、きりがないね」


ワルターは剣を構える。ゼロとフェンリーとオイゲンも同様に戦闘体制に入る。




「待ちなさい!」




両者が激突しそうになった正にその時、女性の声が広場に響く。その声に反応して男たちは動きを止める。


「お前たちでは何人束になっても敵わないわ」


(この声……まさか)


集落の奥から一人の女性が姿を表す。



「久しぶりねぇゼロ君。どうやら無事復活したみたいね。嬉しいわ」

「……ニコル。貴様、またこのようなことを……」


悩殺のニコル。かつてゼロたちを苦しめた女。ゼロを助けるべく、一度はレイアたちと協力したものの、イシュタルに及ばないと悟や否や姿を消していた。以前はサンバーン近くの岩場で盗賊どもを従えていたが、今回はこの島で原住民たちを支配しているようだ。



「なんだいあの美しい女性は」

「やつの目を見るな。イシュタルのように人を操る力を有している」


ニコルに興味津々のワルターに忠告するゼロ。


「なんだか嫌な感じがしますわ、あの女」


ニコルの豊満な肉体を睨み付けるセシル。


「あの女は殺し屋ニコル。男女問わず悩殺し、惑わす恐ろしい女です。決してあの女の目を見てはいけません」


ニコルの恐ろしさをセシルに伝えるオイゲン。


「顔を見るなと言われましても……」


顔から少し目線をそらせば、巨大なバストがその目にうつる。


「……腹が立ちますわね」


ニコルの胸から目線をあげてニコルの目を睨み付けるセシル。


「あなた! わたくしはセシル・アルバート! あなたも名を名乗りなさい!」

「あら、レイアちゃんじゃ無いわね。それにしても元気のいい娘ね。思わず殺したくなっちゃう」


ニコルの殺気に当てられてセシルの背筋がゾクゾク凍る。


「ひぃ!」


脳みそを鷲掴みにされているような感覚。


「オイゲン!」


ゼロがセシルの横にいるオイゲンに向かって叫ぶ。オイゲンはセシルを抱えてニコルの視線が届かないところまで後退する。


「ふふふふ。あっけないわねぇ。レイアちゃんの代わりにしてはちょっと物足りないんじゃないかしら? レイアちゃんはどうしたの? まさかあのおじいちゃんに殺されちゃったかしら?」



嬉しそうに笑みを浮かべるニコル。その姿は以前のような気高さを取り戻している。



スーと空気が冷たくなる。


ニコルのみならずフェンリーとワルターもゼロから放たれる殺気によって硬直する。



「死にたいのか?」



その一言によって回りのすべてがゼロの支配下におかれる。


「上等じゃない……」


ニコルも力を振り絞り、男どもを操る。



「あの時の恨み、今晴らさせてもらうわ!」





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