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スティールスマイル  作者: ガブ
第三章 もう一人のゼロ
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episode 85 「次なる舞台」

ベルシカに到着した一行。一先ずフェンリーの家へと向かう。


「なんだいこれは。ここが人の住む家かい?」

「お前ん家とかわんねぇだろ」


ワルターがフェンリーの氷付けの家を見て思わず言葉を漏らす。確かにゼロが以前訪れたときとは全く様子が違った。家のなかも非常に荒れていて、半分崩壊していた。


「なるほどな。ここでアーノルトと戦闘になったのか。しかしよく生きていたな」


部屋中にある戦いの痕跡を見渡すゼロ。


「ああ、仲間が身を呈して救ってくれた。やつにも深い傷を追わせることができたが、その代償として仲間は皆殺しにされちまった」


そういってフェンリーは家の裏口の扉を開ける。するとそこにはおびただしい数の墓が作られていた。どれも質素なものだったが、一つ一つ墓石には名前が刻まれ、花が備えられていた。


いくつか名前の刻まれていない墓石が存在することに気がつくワルター。


「なんだい、作りすぎてしまったのかい? 適当な男だね」

「ああこれはな、まだ遺体を回収できてねぇんだ。逃げるのに必死でな、俺の仲間の遺体は各地に散らばったままなのさ」


さすがに口をつぐむワルター。


「まぁとりあえず飯にでもしようや。ゼロは弁当があるとして、ワルターお前はなんか持ってんのか?」

「当然さ」


ワルターはリースから渡された弁当を見せびらかすように取り出す。


「……そーかよ」


不満をあらわにし、適当に缶詰をつまむフェンリー。残りの二人は愛情のこもった弁当を食す。


「で、だ」


フェンリーはいち早く食事を済ませ、缶詰を灰皿代わりにタバコを吸いはじめる。


「おいおい、フェンリー。せっかくの妹の弁当に汚い煙がまとわりつくじゃないか」

「なら外で食え。どのみちこの家にはその汚い煙とやらが充満してるんだからよ」


フェンリーは気にせず計画を語りはじめる。


「アーノルトをぶっ殺すことはもちろんだが、仲間の遺体も回収したい。だからまずはハウエリスに向かう。それで……」

「また海をわたるのかい。全く長い旅になりそうだ」


一人まだ食事を続けているワルターが口を挟む。


「お前は口じゃなく、手を動かしな。いつまで食ってやがる」

「しょうがないだろう? まだ食事はなれてないんだ」


なくなった腕をさすワルター。そうなるとフェンリーは何も言い返せない。それをワルターもわかっているのだろう。


「けっ!」





ハウエリスはここ、ベルシカから約三日ほど南下したところに位置する国である。人口は約八千万人。国土のほとんどが砂漠化しており、人の住める場所は少ない。そのため人口密度は高く、経済、科学が発展している国でもある。





「ワルターが食い終わったら早速出発だ。各自、準備を怠るんじゃねぇぞ?」



新天地、ハウエリス。果たしてどんな出会いと別れ、そして困難が待ち受けているのだろうか。








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