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スティールスマイル  作者: ガブ
第二章 モルガント帝国
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episode 76 「キス」

ゼロの唇から目が離せないレイア。


(落ち着いて、落ち着くのですわたくし。これは仕方の無いことなのです。それに決していやらしい行為ではないです。わたくしではなく、ゼロさんの為なのです)


寝込みを襲うような真似を必死に正当化するレイア。


ケイトは悔しさと悲しさで唇を噛みしめ、手を握りしめる。リースは顔を真っ赤にして手で覆い、指の間からその行為を見つめる。



ゼロの顔がどんどん近くなる。心臓の鼓動もどんどん大きくなる。

唇ばかりに目がいっていたが、ふとゼロの顔全体が目にはいる。その顔はとてもキスを待ち望んでいる顔ではない。苦痛に満ちた辛そうな顔だ。


レイアはゼロの顔に限界まで近づけていた唇を離す。


「どうしたのレイア、怖じ気づいたの」


若干機嫌の悪いケイトが尋ねる。


「いいえケイトちゃん。やはり、こんな形でゼロさんと接するのは間違っていると思います。きちんと向き合い、お互い納得がいった上で行うべきだと思います」


レイアの返答に黙ってしまうケイト。


「ヒュー。いうねぇお嬢ちゃん。ま、チューなんかで目覚めたら苦労しな……」

「ゼロさん。わたくし待ってますから」


フェンリーは急に言葉を詰まらせ、辺りに耳を澄ます。ワルターも何か感じ取ったようだ。


レイアはゼロと出会ってからの事を思い出していた。


「色々なことがありましたね。ですが出会ったのはついさっきのような気もします」


ゼロとの記憶が頭の中を駆け巡る。


まるで走馬灯のように。



「あぶねぇ!」


フェンリーの叫び声に反応して振りかえるレイア。そこには剣を構え、鬼気迫る表情のイシュタルの姿があった。


とっさにゼロを守るように覆い被さるレイア。レイアごとゼロを一刀両断しようと剣を振り下ろすイシュタル。



レイアの金髪が宙を舞う。レイアが目を開けるとローズとマークが二人がかりでイシュタルの剣を受けていた。


「フェンリー、俺の拘束を解いてくれ」

「あ、ああ」


いつにもなく真剣な表情のワルターの氷を解くフェンリー。ワルターは剣を握りしめてイシュタルの方へと向かう。震えていたのは氷のせいだけでは無いだろう。


「お久しぶりです。イシュタル元帥殿。ひとつ手合わせ願えませんか?」

「貴様は……いつぞやの弟子入りを志願してきた小僧か。貴様もこの娘に手を貸していたとはな。名は確か……」

「ワルター・フェンサー!」


イシュタルに飛びかかるワルター。イシュタルはローズとマークを軽くいなしてワルターを迎え撃つ。


ワルター渾身の一撃が炸裂するも、イシュタルにとってそれはたいした一撃ではない。逆に攻撃したワルターの方が吹き飛ばされる。


「ハハ! さすがは最強だ!」


テンションが上がるワルター。素早い動きでイシュタルを翻弄し、細かに突きを繰り出す。イシュタルは避けようともせず、身体中に傷を作りながら後ろから切りかかってきたマークの剣を受ける。


「なっ! バカな!」

「貴様は確かガイアの弟か。弱い、弱すぎる。七聖剣が泣いているぞ」


受けることが不可能なウォーパルンの一撃を受けられた事に驚くマークを蹴り飛ばし、再びワルターの方を向く。身体中にあった無数の刺し傷はいつのまにかすっかり完治していた。


「それが噂の加護ですか。全く反則もいいところだね。それにその剣……」


マークの一撃を受けた光輝く剣を見つめるワルター。



七聖剣 エクスカリバー

七聖剣の中で最高の硬度を誇り、その刃は決して刃こぼれすることはないという。光の加護を宿し、全ての加護を無効化する力がある。


「我が聖剣の味、存分に味わうといい」


ケイトはレイアとゼロをつれてイシュタルから離れる。


ローズ、マーク、ワルター、フェンリーの四人は最強の敵と対峙する。




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