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スティールスマイル  作者: ガブ
第二章 モルガント帝国
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episode 74 「合流」

変わり果てた姿の兄ワルター、まさかの登場上官ローズ大佐、期待の新星六将軍マーク中佐の同時の登場に驚きが追い付かないリース。


「やあ、リース。」


兄の声に反応してワルターの元に駆け寄るリース。


「ちょっとフェんリーさん! どういうことですか!」

「すまん、そこのねーちゃんたちと争ってたもんだからとりあえず拘束した。ねーちゃんたちを凍らすわけにもいかねぇだろ?」


フェンリーの言うとおり、二人は満身創痍で特にマークは酷いほど痛め付けられていた。


「兄さん、これは一体……」

「私から説明する」


ローズの説明を受けるリースたち。ゼロを狙っている事に気づくと、レイアは気絶中のゼロを庇うようにゼロに覆い被さる。



「ローズ! ゼロさんを渡すわけにはいきません!」

「……ああ、何度も聞いたよ。だが今はそれよりもレオグール中佐の事を頼みたい」


ローズはボロボロのマークを丁寧に地面に下ろす。それを見てようやくゼロのもとを離れるレイア。応急手当用の道具をもってマークの様子を見る。


「どうだレイア」

「……酷いです。ワルターさん! どうしてここまでやる必要があるのですか!」


マークの傷には明らかに憎悪や楽しみの跡がある。


「仕方ないじゃないか、ゼロ君を守るためだよ」


ワルターの軽い返事を無視して治療に集中するレイア。剣術ばかりで治療の心得がないローズは黙って見ているしかなかった。



「ひとまずこれで大丈夫です。あとはお医者様に任せましょう」

「済まない、レイア。礼を言う」


ローズはレイアに頭を下げる。


「やめてくださいローズ。次はリザベルトです。どうやって元帥さんから奪還するか考えましょう」

「レイア……」


レイアを抱き締めるローズ。


「な、なななんですかローズ」

「本当に済まないレイア。私はお前とゼロよりリザベルトを優先して考えてしまった! お前たちの事情も考えず、お前たちがどうなってもいいと考えた! それなのにレイア、お前はリザベルトの事まで……」

「当然ですよ。リザベルトは大事な友達ですから」


普段は決して人前で涙など流さないローズ。涙混じりに謝罪するローズを優しく受け入れるレイア。そんなレイアの暖かい胸でさらに涙を流すローズ。


「なんだいローズ。そんな一面もあるのッモゴ!」

「黙ってろ」


チャチャを入れるワルターの口を凍らせるフェンリー。



「……うっ」

「レオグール中佐!」


涙を拭い、目を覚ましたマークの元に駆け寄るローズ。真っ赤なローズの顔を見て心配するマーク。


「どうしたんですか大佐。どこか具合でも悪いんですか」

「馬鹿者、自分の心配をしろ!」


なんとか体を起こすマーク。体の隅々まで痛む。


「大佐が手当てを?」

「いや、私の友人だ」


レイアの方を向くローズ。レイアは自分の方に来ようとするマークの元に慌てて駆け寄る。


「恩に着る。この礼は必ずする。名は?」

「レイア、レイア・スチュワートです」

「そうか、俺はマーク・レオグール中佐だ。……レイアだと?」


元帥から伺っていた名前に反応し、ローズにアイコンタクトを送るマーク。


「ああ、そうだ。彼女が元帥の仰るレイア。そしてそこに寝ているのが標的のゼロだ」


ゼロを指差すローズ。それを聞いてレイアを突飛ばし、ゼロに飛びかかろうとするマークだったが、体がいうことを聞かない。


「何故確保しないのですか大佐! 急がなければリザベルトが!」

「落ち着け中佐。今お前が突き飛ばしたのは命の恩人ではないのか?」


我にかえり、レイアに手をさしのべるマーク。


「す、済まないスチュワートさん。俺、とんでもないことを」

「いいのですよマーク。それだけリザベルトの事を大切に思ってくれているということですこら。それに私の事はレイアで構いません」

「ありがとう。レイア」


そのまま握手をするレイアとマーク。


なんとかローズたちとの衝突は最小限に抑えられたが、状況は何ら改善してはいない。ゼロはいまだに意識を取り戻してはおらず、リザベルトも依然として囚われの身だ。


いずれにせよ元帥、イシュタルとの戦闘は避けて通ることはできないだろう。


敵は強力だが、レイアは希望を捨ててはいなかった。

ケイトにフェンリー、それにリース。さらにはローズとマークが協力してくれれば何でもできる気がした。




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