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スティールスマイル  作者: ガブ
第二章 モルガント帝国
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episode 73 「ワルターvsフェンリー」

強者同士の戦いに、ローズやマークの付け入る隙は全く無かった。


「流石だよフェンリー。もっともっと俺を楽しませてくれ!」

「お前を楽しませる気はねぇが、本気で相手してやるよ」


フェンリーはワルターの攻撃を避けつつ、地面に触れて氷の地雷を設置していく。


「全く、ここはスケートリンクじゃあ無いんだよ」


ワルターの動ける範囲はどんどん狭くなっていく。が、それでもワルターの勢いは止まらない。剣をスティック代わりにして氷の上をも移動してフェンリーに攻撃を加える。軽い攻撃なら氷でガードできるが、ワルターの攻撃はそうもいかない。剣を避ければ必ず隙が生じ、その隙を正確にワルターは突いていく。


「んー流石にしぶといね。こっちは足を負傷しているし、これは長引くと不利かなぁ」

「へ、生かさず殺さずは俺の得意分野だぜ。いつまででも相手してやるよ」


二人が戦っている間に物陰に隠れるローズとマーク。ワルターに徹底的に痛めつけられたため、マークはほぼ意識がなく、ローズが看病する。


「しっかりしろレオグール中佐! 大丈夫だまだ助かる! 意識をしっかり持て!」


マークは薄れゆく意識の中でローズの手を強く握る。


「リザ、ベルトを、たのみ、ます」


マークは意識を失う。ローズはマークを草の中に隠し、マークの剣を取る。サファイヤが埋め込まれし七聖剣、ウォーパルンを。


「ワルター! 私が相手だ! リザベルトは私が救い出す!」


ローズはフェンリーと戦うワルターに向かって叫ぶ。だがワルターは戦いに集中しているためか、まったく反応を示さない。ローズはチャンスをうかがい、じわじわと距離を詰めていく。フェンリーはローズに気付いたのか、ワルターがローズに背を向けるように誘導する。


「ハハ! フェンリー、そう逃げてばかりでは困るよ」

「ああ、だろうな」

「ん?」


後ろから視線を感じ、振り返るワルター。そこにはすでに攻撃の動作に入っているローズがいた。


「覚悟!」

「甘いよ、ローズ」


振り下ろされたウォーパルンを寸前のところで避けるワルター。剣から飛び散った水が虚しく宙を舞う。

絶望するローズ。


「外した!」

「残念だったねローズ」

「いや、上出来だ」


宙を舞う水滴はフェンリーに触れた瞬間、氷の粒へと変貌を遂げる。そしてその氷粒はワルターに向かって突き進む。


「な!」


氷粒に襲われ、地面に倒れるワルター。すかさずフェンリーが追撃し、ワルターを地面に貼り付けにする。興奮状態のローズはワルターの顔面に剣を突き刺そうとするが、フェンリーによって止められる。


「はなせっ! この男はレオグール中佐を!」

「落ち着けよねーちゃん。もうこいつは動けねぇ」


フェンリーに説得され、何とか落ち着きを取り戻すローズ。


「で、お前らは何なんだ? 何でワルターと戦ってた?」


理由を説明するローズ。


「なるほどな、お前がリースの言ってた上官か。奇妙なこともあるもんだ」

「リースを知っているのか!」

「知ってるも何も今一緒に行動している。そこのワルターも一緒にな」

「そういう事さローズ。フェンリー、そろそろ氷を溶かしてくれないか? 凍えてしまいそうだ」


足と腕、最低限の部分のみ残して氷を解除するフェンリー。ローズは納得していないようだが。


「ローズっつったか。お前の置かれてる状況は分かった。だがな、ゼロは渡さねぇ。そこに関してはワルターと同意見だ、だからな」

「そうか、ならお前とも戦わなくてはな」


フェンリーの話を遮り、再び剣を構えるローズ。


「おいおい待て待て、これじゃワルターの時と一緒じゃねぇか! 話を最後まで聞けや」

「何だ。言っておくが私もあきらめる気は無いぞ」


剣を寸でで止めながら、フェンリーの話に耳を傾けるローズ。


「ローズ、お前も俺たちに協力しろ。」


ローズはさらに剣をフェンリーに近づける。


「話を聞いていなかったのか? それとも妹を見殺しにしろと?」

「お前こそ話を最後まで聞きやがれ。とりあえずリース達と合流しようぜ、そこにゼロもいるからよ。さっきのガキの傷の具合も診てやんねーとな」


フェンリーの言葉を聞いて、剣を捨てマークの元へと駆けるローズ。何とかまだ息はあるようだ。


「……とにかくレオグール中佐の看病が先決だ。話はそれから聞く」

「決まりだな」


ローズはマークを、フェンリーはワルターをそれぞれ抱え、レイアの待つ港へ向かって歩き出した。





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