表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スティールスマイル  作者: ガブ
第二章 モルガント帝国
69/621

episode 69 「誇り」

バチバチと空気が揺れる。とてつもない悪寒がリザベルトを襲う。


死神ゼクス、敵はもちろん味方からも恐れられる死の将軍。その男が正に自分を敵と認識し、命のやり取りをしようとしている。


「待ってくれ大佐! 中尉、お前も早く謝罪を……」

「黙ってろ、レオグール中佐」


間に割って入るマークを気迫で退けるゼクス。


「リザベルト、俺は知っての通り十闘神モルガナの加護を受けている。その意味はわかるよな?」



十闘神モルガナ。十闘神の中では比較的若く、魔術の扱いに長ける魔女と言い伝えられている。



地水火風、様々な超常現象がゼクスの周りで起こる。


「干死、溺死、焼死、烈死、好きなものを選びなぁ!」




ゼクスの容赦ない一撃がリザベルトを襲う。マークが助けに入るが、一歩及ばず攻撃はリザベルトに命中する。


「かっ!」


息が止まるリザベルト。たったの一撃で瀕死状態に陥る。


「リザベルト!! おい、しっかりしろ!」


リザベルトの頭を抱えるマーク。辛うじて生きているようだが、反応はない。


「オイマーク! ぼさっとしてねぇで早くそのゴミを棄ててこい!」

「キサマ……」

「あぁ? 何か言ったかよオイ!」


ゼクスに飛びかかろうとするマークを誰かの手が制止する。


「誰だ! この男は俺が!」

「この男は私がやる」

「……! あ、あなたは!」


マークを止めた者の名はローズ。帝国軍大佐にしてリザベルトの実の姉である。



「キラ、妹をここまで痛めつけておいて最早言い訳などするまいな?」

「言い訳? 何でそんなことしなきゃならねーんだよ。そこのゴミクズは反乱分子だ。だから殺す。それが俺の任務だ」


剣を抜くローズ。


「殺す」

「ギャハハハ。いいねいいよ。テメーはいい加減目障りだったからな。いい機会だ、ブッ殺してやるよ!」


ゼクスはローズに向けて攻撃を開始する。だがリザベルトのように簡単に攻撃は命中しない。だんだんとイライラしてくるゼクス。するとある企みが生まれる。その企みに気づいたのかマークが動こうとするが、ゼクスはそれを止める。


「マーク! テメェは動くんじゃねぇ! 反逆者になりてぇのか?」

「く! 大佐、だが!」

「最後のチャンスだ。退いてろ。そしたらさっきの発言も聞き逃してやってもいいぜ。」


マークの動きが止まったのを確認し、今度はローズに語りかける。


「おっと、動くなよローズ。そこのゴミを燃やしちまうぞ?」


ゼクスは横たわるリザベルトに向けて攻撃するそぶりを見せる。


「……キサマ、卑怯な真似を」

「卑怯で結構! 勝つためなら手段を選ばない、それが生き残るコツさ。来世で忘れないようせいぜい肝に命じておきな」


ゼクスは無抵抗のローズを狙い打つ。


「ギャハハハ。死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね!」


(ここまでか。……姉上、あとは頼みます)


ローズは死を覚悟する。が、攻撃は思わぬ方向へと逸れる。



「がっ! マーク、テメェ……」



マークは柄頭でゼクスの頭部を強打した。ゼクスはそのまま意識を失う。


「レオグール中佐! 何故……」

「誇りをもって行動しろ。兄から教えられた言葉です。任務をこなすことは軍人の俺にとっての誇りです。ですがここであなたたちを見捨てれば、マークとしての俺の誇りは失われてしまいます。それだけです」


マークとローズはリザベルトを抱えてその場を去る。明らかに任務を放棄し、軍に反逆した二人だったが、残されたゼクスの部下たちは誰も二人を追おうとはしなかった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ