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スティールスマイル  作者: ガブ
第二章 モルガント帝国
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episode 66 「ゼロvsリン」

ゼロは明らかにレイアたちを警戒していた。眼光は以前のように鋭さを増し、敵意をむき出しにしている。


「ぜ、ゼロさん?」

「……ぐっ!」


レイアの言葉を受けて、頭を抱えるゼロ。


「俺は誰なんだ! ここは何処なんだ!」


ゼロは暴れ始める。危険を感じてケイトがレイアをゼロから引き剥がす。ゼロはテーブルの上にあったペーパーナイフに手を伸ばす。


「答えろ! 俺は誰なんだ!」

「あなたは、ゼロさんです」


ケイトの手を振りほどき、再びゼロのもとへと近づくレイア。レイアが近づいてきたことでさらに取り乱すゼロ。


「く、来るな!」


ゼロは目をつぶってナイフで威嚇する。そのナイフはレイアの頬を切り裂き、血が滴る。

肉を切った感触に驚き、ナイフを落としてしまうゼロ。


「あ、あああ」

「三回目ですね」


レイアはナイフを拾い、ケイトに手渡す。リースが差し出してくれたハンカチで血を拭い、ゼロの方を見る。その視線に怯えるゼロ。


「な、何だ! 仕返しするつもりか! お前が悪いんだぞ!」


さらにゼロに近づくレイア。ゼロは恐怖で目をつぶる。


「ひぃ!」


次の瞬間、暖かさがゼロの全身を包み込む。ゼロの恐怖心は一気に解消され、目を開ける。


「ごめんなさいゼロさん。辛い思いをさせてしまって」


レイアの血がゼロにも伝わる。


「あと少しです。あと少しで本当のあなたに戻ることができるはず」


レイアはゼロをより一層強く抱きしめる。血と一緒に涙もゼロに伝わる。その涙を見てゼロはなぜか心が強く締め付けられる。そしてゆっくりと再び意識を失った。




またここか。




ゼロは意識の世界に戻ってきた。だがそこにイシュタルの姿はない。その代わりに見覚えのある男が立っていた。


「お前は……」

「はじめまして。僕はリンです」


リンはそう言うとゼロに襲いかかっていく。

身体能力はまったく同じ。攻撃を避けることはできても、反撃をすることはできなかった。


「なんだ貴様は」

「僕はリンです。ゼロ、君にかわって僕が君になります。大人しく死んでください」


リンは鋭い攻撃を繰り出す。スピードも威力も十分、だがゼロはある違和感に気がつく。


「貴様、人を殺したことがないな?」

「はい。僕は殺し屋ではないですから。でも能力は君と全く一緒です。劣るとは思いませんが」

「確かに。だが貴様には人を殺す知識も覚悟もない。なぜなら貴様は俺の記憶がないからだ」


ゼロはリンの攻撃をわざと受け、隙を作る。そしてリンのこめかみめがけて鋭い蹴りを与える。


「っ!」

「ここは人体の急所の一つだ。強打すればたちまち平衡感覚は失われる。まぁ、もう聞こえてはいないだろうがな」


そして脳天に追撃のかかと落としを食らわせる。リンは倒れ、意識を失う。



「見事だ」


聞き覚えのある声の方を向くゼロ。


「いい加減貴様の顔も見飽きたな」

「リンを倒したからといい気に成るなよ。指はまだ三本残っている。」

「貴様こそのこのこ出てきていいのか? 貴様を倒せばそれで終了だろう?」

「いいのだよ。ワシの方が遥かに強いのだから」


再びまみえる両者。最強同士の戦いが再び始まる。





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