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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
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episode 572 「マークVSアーノルト」

「マーク・レオグール、忠告しておいてやる。俺と戦えばお前は必ず死ぬ。そしてガイア・レオグール、止めるなら今のうちだ。お前の大切な弟が無惨に殺されるところを見たくは無いだろう」



忠告するアーノルトだったが、マークもガイアも意志に揺るぎはない。マークはアーノルトに剣を向け続け、ガイアも腕を組んでそれを見ている。



「そうか……なら死ね!!」



必殺の一撃をマークに向かって放つアーノルト。マークの眉間を突き刺し、頭蓋骨をも粉砕する……筈だった。しかし実際はそのクナイはマークのエクスカリバーによって弾き飛ばされてしまう。


「な!」


一瞬の同様が隙を生み、マークの一太刀を腹に浴びてしまう。



「鎖かたびらか……」



マークの攻撃を浴びて、アーノルトの装備は破壊される。その下からは気耐え抜かれた色白の肉体が剥き出しになる。



「お前……本当にマーク・レオグールか? お前の実力では俺の攻撃に反応することは不可能だった筈。一体何があった!?」


珍しく顔に動揺が表れるアーノルト。それほどまでにマークは実力を上げていた。組織のトップと比べても遜色無いほどに。




「託されただけだ。尊敬する三人の兵士に!」



再びエクスカリバーを振るマーク。反応し、二本のクナイで受け止めるアーノルト。しかしマークの攻撃はアーノルトのクナイを打ち砕き、そのままアーノルトの胴体に一撃を食らわせる。


「くっ!」


腹から真っ赤な血を噴き出すアーノルト。もう疑う余地もない、マークの実力は格段に上昇していた。






「非礼を詫びようマーク。お前は俺の敵にふさわしい」





アーノルトの雰囲気が一気に変わる。アーノルトの力が溢れていく。マークから受けた傷は全快し、そのオーラは二人を畏怖させるのに充分なほど大きかった。







マークは剣を握る手に力を込める。すると自然と勇気が湧いてくる。



(そうだ、俺は一人じゃない)





「行くぞ!」


マークはエクスカリバーを手に、圧倒的な力を持ったアーノルトに突っ込む。小細工は一切無い、正面から打ち崩すと決める。



「沈め!」


アーノルトもまた、全力でマークを向かい打つ。こちらも特別なことは何もない。力のみの戦いだ。


ガイアは固唾を飲んでそれを見守る。アーノルトの力は火を見るよりも明らか。今すぐにでも弟に手を貸したいが、それはマークを尊重しないことに他ならない。



(行け、マーク。お前なら勝てる!)



それは決して願望ではない。マークならアーノルトに及ぶと、心のそこからそう思っている。




そして、それはあながち間違いではなかった。




魔族化したアーノルトの力は圧倒的にマークを上回っている。パワーもスピードもマークが勝る点はない。それでもアーノルトはマークを仕留めきれなかった。


最初の交錯。マークのエクスカリバーとアーノルトのクナイの激突。エクスカリバーはまたしてもアーノルトのクナイを粉々に打ち砕くが、今度は攻撃がアーノルトまで届かない。逆にアーノルトがマークに攻撃を仕掛けるが、マークはアーノルトの気配を機敏に察知し、紙一重で攻撃をかわす。



「はぁ、はぁ、はぁ」



それでもマークの体力の消費は著しかった。意識を集中させていなければ、一瞬でアーノルトにやられてしまう。しかし気を張りつめ続けていることは難しい。


(だが、俺は戦えている。遥か高みにいる存在と)


マークは確かな実感を覚える。そして託されたことの責任を果たせる喜びに震える。しかし、その震えは喜びではなく、恐怖から来るものだと気がつかなかった。







「なるほど……普段の俺ならば苦戦を強いられただろう」





アーノルトの力が更に増幅する。マリンから受け継いだ魔の力が溢れていく。




「な、まずいこの力は! マーク!」


いち早くアーノルトの変貌に気がついたガイアがマークに叫びかける。その言葉がマークに届くよりも早く、マークもその言葉の意味を感じとる。



次の瞬間、マークの肩にアーノルトのクナイが突き刺さる。


「え?」


痛みを感じるより前に反対の肩にも突き刺さる。剣だけは離すまいと握りしめるが、その手にもクナイの追撃がやってくる。



「がぁぁぁぁ!」



次から次へと突き刺さるクナイ。しかし、数十本突き刺さろうともマークは倒れず、エクスカリバーも離さない。




「覚悟だけは認めてやる。しかし、それでどうやって俺に勝つ?」



アーノルトは人間を超越した速さで移動しながらマークに語りかける。既にアーノルトの姿はマークの目には映っておらず、言葉も音としてしか耳に届かない。意識もままならないが、マークは確実にアーノルトの方へと進んでいる。


(見えてはいないはずだが……本能で俺を追っているとでもいうのか?)


マークの意思の強さに驚かせられながらも、後一撃で全てが終わる。その一撃がマークに振り下ろされるのと、ガイアがそれを受け止めるのと、マークが気絶したのはほぼ同時だった。



「すまないマーク。もう限界だ」

「そう、それがお前たちの限界だ」



にらみ会う両者。ガイアはかつて友と認めた男に対して敵意の眼差しを向ける。



「マークを傷つけたことに対して恨みはない。それはマークが望んだことだからな。だがな、やはり許すことはできない」

「面倒な男だ。黙ってかかってこい」









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