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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
577/621

episode 560 「正面衝突」

自らにもダメージが あるレベルで雷撃を繰り出すワルター。放った右手が痺れる。その渾身の一撃もミカエルに全くダメージを与えられない。


「諸刃だな。左手を使用しないのはなぜだ? その手なら反動も無いだろう」



ワルターの機械の左手を指しながら告げるミカエル。ワルターは気にせず右手で攻撃をし続ける。





「この手はメディアにもらった腕さ。ならこの腕を使うということはメディアの力を借りるってことだろう? 俺は俺だけの力で君たちに勝ちたいんだよ」

「その力も他人から与えられたものだろう?」



ミカエルの返答を受けてワルターは更に力を強めていく。




「他人じゃない。この力をくれたのは妹だ。だから俺は応えるのさ、妹が託してくれた俺は誰よりも強いってね」



剣を片手に突っ込むワルター。ミカエルは目をつぶり、集中力を高めていく。


(もはやこの人間どもに脅しは通用しない。早々にカタをつけ、ルナに託す)



ミカエルは目を開き、拳を構える。ハデスほどではないが、ミカエルの拳も人の領域では耐えることの出来ないものだ。たとえ当たりどころが良かったとしても、一瞬で意識は絶たれてしまうだろう。その拳が、ワルターの速度を上回る速さで繰り出される。


「うらぁぁぁぁ!」


しかしその拳はワルターまで届かない。それよりも速く、フェンリーの氷がミカエルの下半身を氷が覆ったからだ。


「くだらん!」


ミカエルはその氷を一瞬で破壊するが、その僅かな隙にワルターはミカエルのすぐ目の前まで迫っていた。



「ゼロ距離からの雷撃、おまけに今君の体はびしょびしょだ」

「なっ!」




ワルターの剣がミカエルの分厚い体に突き刺さる。そしてそこからワルターに出せる最大出力でミカエルに電撃を放つ。



「うぁぁぁぁ!」

「がぁぁぁぁ!」



二人の悲鳴がこだまする。







その頃、ハデスとアスラの一騎討ちも終わりを迎えようとしていた。


「ハデス、終わらせよう」


アスラは全ての力を拳に集める。防御を犠牲にするかわりに、いまこの瞬間だけはハデスをも上回るパワーを手にいれる。



「ウガァァァァァァァ!」


ハデスもそれを真似しているのか、拳を後ろへと大きく引く。



(ハデスは常時力を解放している。それにやつは力をコントロールできるほど器用でもない)




勝利を確信するアスラ。確かにアスラの言うとおり、ハデスに力をコントロールできるような真似はできない。アスラが他の全てを犠牲にすれば越えることもできるだろう。


しかし、アスラは一つ大切なことを見落としていた。アスラはハデスとの打ち合いで大幅に体力を消耗しているが、ハデスはまだまだ体力が有り余っているということだ。互いに万全な状態であればアスラに軍配が上がっただろう、しかし今の状況ではアスラがハデスと正面からぶつかることは愚策の他無かった。


拳と拳がぶつかる寸前、自らの体力に気がつくアスラ。



(しまっ、このままでは打ち負ける!)


もう避けられるだけの距離ではなかった。ここでまともに攻撃を受ければアスラとてただでは済まない。死にはしないものの、体力を回復させるのには相当な時間を要するだろう。その間他の者がハデスの相手をしなければならないが、今の状況ではそれが務まる者はいない。



「ルイン!!」



アスラは唯一この状況を打破できるであろう人物の名前を叫ぶ。気配はまだ無い。だが、きっと来る、そう信じていた。



そして、それは現実となる。






「何やってんだこのアホ!!」




アスラがハデスに殴り飛ばされた直後、ホルスと共に上空から現れるルイン。そのままの勢いでハデスの脳天にかかと落としを食らわせる。


「ウガァァァァァァァ!」



ハデスの鋼鉄の頭蓋骨はその衝撃をうけとめきれず、口からは悲鳴が漏れる。



「来てくれたか……」

「あんたはさっさとルナんとこ行きな」



ハデスと正面から激突したアスラの右腕は、原型をとどめていない。アスラはよろよろとルナの方へと向かう。


「すまん」

「無茶をしおって」


面目無さそうにするアスラを治療するルナ。通常なら再起不能とされる傷でも、ルナにかかればかすり傷と変わらない。しかし治すのにはそれ相応の時間がかかるため、アスラの怪我ではそう簡単に戦線に復帰することは出来ない。つまり今ハデスと戦うことができるのはルインたった一人ということだ。



「ホルス、お前は離れてろ。お前のその細い胴体じゃ、一発食らったら即死だぞ」

「そうさせてもらう」



ルインはホルスを下がらせる。ホルスは特に反応すること無く、素直にその場を離れる。




「さてと、お前と殴り合うのは久しぶりだな」

「ヴゥゥゥゥ……」




ハデスがおとなしくなる。そうならざるを得ないほど、先程のルインの攻撃は強烈だった。しかしハデスは怯えているわけではない。がむしゃらに暴れただけでは目の前の敵を倒すことが出来ないと理解しているのだ。ハデスは落ち着きながら力を蓄える。そして考える、いかにしてこの目の前の女を八つ裂きにしてやろうかと。


「こいよ、五秒でのしてやる」

「ウガァァァァァァァ!」


ルインはハデスに手招きしながら告げる。ハデスはあくまで冷静に、そしてそれをルインに悟られないように表面上だけ怒り狂いながら突っ込んでいった。












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