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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
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episode 556 「ゼロVSハデス」

ハデスの二回目の咆哮。それは現れたゼロとレイアに向けてのものだった。


「また人間か……悪いが俺はこの男の相手をしなければならない。邪魔をするというなら手加減はしない」



カッと口を開き、大声でゼロとレイアを攻撃するハデス。ゼロはレイアを後ろに隠し、両手を胸の前で組む。音による攻撃もさることながら、発生した衝撃波はかなりのものだ。


「くっ」

「きゃぁぁぁ!」



ゼロとレイアは衝撃に耐えきれず、後方へと飛ばされる。


ハデスはフェンリーをひょいっと持ち上げ、雑に投げ捨てる。



「来たければ来るがいい。俺しかいない今がチャンスとも言える」



ハデスから放たれる圧倒的強者のプレッシャー。立ち向かおうとする者の心を折る。




「ほう、やはりここまでたどり着いた人間は侮れんな」




フェンリー同様に立ち向かってくるゼロに素直に感心するハデス。







「フェンリーから離れろ!」



ゼロは、ハデスに向けて弾を発射する。それは威嚇射撃などではなく、確実に命を取る為に放たれる。威嚇など無意味だということがわかっているからだ。下手にダメージを与えれば、反撃によりレイアに被害が及ぶ恐れもある。与えるならば致命傷以外になかった。


弾は見事にハデスの眉間に命中する。しかし、弾はハデスの体には入っていかない。鋼鉄のように硬い肉体は眉間も同様だった。



(硬すぎる……もはや皮膚に対する攻撃は無意味か。ならば狙うは目か口内)


すぐさま狙いを切り替えるゼロだったが、またしても発せられたハデスのプレッシャーに身動きがとれなくなってしまう。




「痛ぇな……」



ハデスの口調が変わる。目も細く切れ、目に見えて様子が変化する。


皮膚がピリつく。歯を食い縛らなければ震えてしまいそうだ。現に後ろに控えているレイアはブルブルと震えている。



「ぜ、ゼロさん。にげ、ないと……」



膨れ上がるハデスの気配と筋肉に気がおかしくなりそうになるレイア。なんとかしてレイアを励まそうとするゼロだったが、ゼロ自身もハデスの気配に圧されており、 レイアを気遣うことができない。



(なんという力だ。マリンと同等、いや全く別の恐怖だ。頭頂から爪先まで針で刺されたかのような殺意だ。これが神だと? 冗談も大概にしろ)



ゼロの目の前のハデスは悪魔そのものだった。




「その傲慢な態度、半殺しにしなきゃおさまんねぇ」



右の拳を握りしめるハデス。ただでさえ巨大なその拳が怒りと殺意に比例して更に大きさを増していく。実際に大きくなっているわけではないが、ゼロがそんな幻覚を見るほどハデスの気配は大きかった。



「この星に俺たち十闘神より強い生物は存在しない。そして俺はその十闘神最強だ」



どしんどしんと地ならしをしながらゼロに近づいていくハデス。ゼロは身動きひとつとれない。


(せめて、レイアだけでも)


ゼロは奥歯を噛み砕く。その痛みでハデスのプレッシャーから解放され、後ろで怯えているレイアを抱えて走り出す。



「自分から仕掛けておいて、尻尾を巻いて逃げ出すとはな!」



地面を破壊しながら追いかけてくるハデス。スピードはそれほど速くはないが、一度でも追い付かれてしまえばそれで終わりだ。


「レイア、少し揺れるぞ」


口から血を流しながら逃げるゼロ。レイアの震えが伝わってくる。


(情けない、俺が弱いばかりにレイアを怯えさせ、フェンリーを助けられない)


後悔はいくらでもあるが、今それをしている余裕はない。一歩でも遠くへ逃げる、いますべきことはそれだけだ。



ゼロを追いかけるハデスの地響きは、気絶しているフェンリーにも伝わる。


(ん、俺は……)


目を覚ましてすぐ、耳の違和感を感じるフェンリー。鼓膜は破れてはいないようだが、傷はついてしまったようだ。耳からはドロッとした血が流れてくる。


(あいつはどこだ!?)


キョロキョロとあたりを見渡すが、ハデスの姿はどこにも見当たらない。見えるのはでこぼこと隆起した地面と、あのゲートだけだ。



「チャンス……なのか?」



フェンリーはもう一度辺りを確認し、ゲートへ近づいていく。


(さんきゅー神様!)


急いで飛び込もうとするフェンリーだったが、その頭上からいきなり巨大な岩が落下してくる。




「うおっ!」




危うく下敷きにされそうになったフェンリーが慌てて頭上を見上げる。そこに居たのは小さな少女だった。



「駄目だって、何度言ったらわかるの!? このお馬鹿!」



岩の上に立ったモルガナは、フェンリーに指を指しながら叫ぶ。








命がけのおいかけっこをするハデスとゼロの間にも羽を生やした男が突如舞い降りる。



「どけ! ミカエル!」

「神としての役目を忘れ、激情にかられるとは愚かな……」



つい先程までの自分の醜態を完全に棚にあげ、ハデスを蔑むミカエル。




「どけって、言ってんだろうが!!」




完全にキレているハデスはミカエルに対しても牙を向ける。



「こうなってしまえば、力で分からせねばなるまいな」


ミカエルも拳を握りしめる。













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