表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
531/621

episode 525 「降り注ぐ閃光」

一発で大地を抉り、星そのものにダメージを与える攻撃だ。人体に直撃すれば瀕死は免れない。かといって避ければ攻撃は星に直撃し、これだけの数が同時に突き刺されば星そのものが崩壊しかねない。



「おい魔族」



アスラがマリンとヨハンに語りかけてくる。



「貴様らは宇宙空間でも生きられるのか?」

「死んでも復活する言った方が正確だが、それがどうした?」



アスラはマリンたちに背を向け、空を見上げる。



「俺たちは死んだらそれまでだ。貴様らが世界を滅ぼしたいならこのまま黙って見ていればいい。だが……」



アスラは天に向かって拳を突き上げる。衝撃は降り注ぐ光と衝突し、相殺する。




「本当にこの世界を救うというのなら、力を貸せ。……不本意だがな」






アスラの言葉を聞き終えると、マリンは傲慢の力で体を闇へと変化させる。そして暴食の力を併発させ、空へと飛び上がる。



「もちろん協力させてもらおう」



光は次々にマリンの闇に飲み込まれて消えていく。しかし当然全ての光を吸収しきれる筈もなく、いくつのかの光は地上を目指して落ちていく。


「任せてお姉ちゃん!」



ヨハンは光に向かって突っ込んでいく。落下予想地点に到達すると、両手を広げて光を待ち構える。光はヨハンの目の前で停止し、そして消える。



「なかなかやるな。だがずさんだ」



光を止めるマリンとヨハンだが、所々取りこぼしがある。それをひとつ残らず叩き潰すアスラ。



三人の協力によって無事星は守られる。






「はぁはぁ、これだけやればさすがにあいつらも……」



力を使いきり、地上へと降りていくモルガナ。そこで待っていたのは疲労困憊の魔族ではなく、アスラと称え合う魔族の姿だった。


「ひとまず礼は言っておく」

「気にするな。我々のためでもある」



怒りが込み上げてくるモルガナ。魔力はほとんど残っていないものの、残りの力を振り絞って二人の間に力をぶつける。



「何やってるのよ!!」




横から飛び出してきたヨハンがそれを防ぎ、モルガナを睨み付ける。



「お姉ちゃん、やっちゃう?」

「よせ。話をややこしくするな」


せっかくアスラとの間に歩み寄る隙を作ったというのに、再びそれを台無しにしようとするヨハンを咎めるマリン。



怒りの収まらないモルガナに歩み寄るアスラ。


「モルガナ、お前の怒りはわかる。だが今お前がやった行為はとても看過することはできない」

「そ、それは……」



自分のしてしまった事の重大さに気がつくモルガナ。一歩間違えれば自分が星を破壊してしまうところだった。






「俺は魔族の話に耳を傾けてみるつもりだ」


反省しかけたモルガナだったが、そのアスラの発言に耳を疑う。



「聞き間違いだよね? そいつらはアテナとスサノオを殺したんだよ!!?」

「だがそれと同時に我々も魔族を葬っている」



レヴィとメディアはアテナが、オルフェウスはルインとハデスがそれぞれ殺している。



「だからなに!? 魔族が何人死のうが私たちには関係ない! そもそも私たちの目的は魔族を滅ぼすことでしょ!?」



アスラの言うことが全く理解できないモルガナ。



「やっぽりやっちゃおうよ」

「黙っていろ」



魔族をバカにされて腹の立つヨハン。マリンは手を出さず、黙ってアスラの動向を見守る。




「俺はもう決めた。異論があるのはもっともだが、世界のためにはそれが一番いい選択だと信じている」



アスラは真っ直ぐした目でモルガナを見つめる。




「いつもそうだ。いつもアスラはそうやって決める」


不満たらたらの顔をするモルガナ。


「でも、アスラの言うことはいつも正しい……」


自分をおし殺し、マリンたちの前へと歩いていくモルガナ。



「私はお前たちを絶対に許さない。でも、お前たちを信じるアスラを信じる」



マリンとヨハンに手を差し出すモルガナ。無理やり笑顔をつくり、歩み寄ろうとする。その差し出された手にあろうことか唾を吐きかけるヨハン。



「やれやれ……」


頭に手をかけるマリン。してやったりという表情のヨハンに対して、顔を真っ赤にしてプルプルと震えるモルガナ。




「お前みたいにガキに信じてもらわなくてもいいよ!」

「ぶっ殺してやるー!!」



以前モルガナに全く歯が立たなかった事を根に持っていたヨハン。モルガナを強く拒絶する。モルガナは杖でベシベシとヨハンを叩くが、怠惰の力で全く効かない。



「むきぃ!!!」

「止めろモルガナ。時間の無駄だ」



モルガナの首根っこを掴み、止めるアスラ。それでもモルガナはバタバタと暴れている。






「止めるのはお前の方だ。アスラ」




またしても天から声がする。今度は低く、響く声だ。



「ミカエル……」


空を見上げながら呟くアスラ。現れたのは組織本部を崩壊させた張本人、ミカエルだった。




そして、現れたのはミカエルだけではない。





「ほう、全員集合か。よっぽど危機感を覚えたらしい」


ゾクゾクとした空気感の中、マリンが声を上げる。




「はわああ! お姉ちゃん、これヤバイんじゃ……!」



ヨハンはあわてふためき今にも泣き出しそうだ。






「アスラ、いくらあんたでもこればっかしは勝手には決めさせねぇ」


マリンを睨み付けるルイン。



「そうじゃ。ぬしの一存で決めてよい範疇をゆうに越えておる」


ゆらゆらとした袖をなびかせるルナ。



「まさかそこの女狐にそそのかされるとはな」


真っ赤な目でアスラを軽蔑するホルス。



「アスラ、ここで終わらせてしまおうよ」


包帯の隙間から黒い肌を覗かせるネス。



「大賛成だ。怠惰の力とやら、この俺の拳で打ち砕いてくれようぞ」


アスラよりも一回り大きい拳に力を込めるハデス。





ここに今、神々が集結した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ