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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
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episode 521 「マリンVSアスラ 2戦目」

魔族のゲートの中でアーノルトは目を覚ました。アスラの攻撃によって破壊された体はすべて元通りになっている。そこ理由はすぐにわかった。



(この体に迸るエネルギー……間違いない、この力こそが魔族の力……!)



魔族の力を得たと確信するアーノルトだったが、その理由は一切わからない。


起き上がったアーノルトが辺りを見渡すと、そこにはガイアたちも倒れている。だが、そこに居るべき者の姿が見当たらない。



(マリン……)



無限に続くとも思える魔族の空間をくまなく探していくアーノルト。しかしいくら探してもマリンの姿は見当たらない。マリンは自分達を逃がすためにあちらに残った、そう考えるのが自然だ。アーノルトはマリンの救出に向かうべく、必死で魔族のゲートを開こうとする。しかしいくら踏ん張っても他の魔族のようなゲートを出現させることができない。



「マリン! 返事をしてくれ、マリン!」


中から声を上げるも、マリンの反応は返ってこない。そもそも伝わっているのかということすらわからない。






その頃、ゲートの外ではマリンがアスラと熾烈な戦いを繰り広げていた。



マリンの連れてきた魔獣の軍勢がアスラに一斉に襲いかかる。虎やライオンのような肉食獣のタイプのものも居れば、象やキリンのような巨大な獣も居る。それだけではなく、ドラゴンまで数匹現れる。その光景を遠くの避難所から見ていた地元の人々は、この世の終わりとも思える現象を前にただただ神に祈りを捧げた。





「生命エネルギーを吸い上げようとしても無駄だぞ? これらは魔族が作り出す道具にすぎない。そこに命は存在しない」



マリンは魔獣を従え、ただ一言命令する。




「獣ども、神を食い殺せ!」




マリンの命令で一斉に魔獣たちがアスラに襲いかかる。



アスラの身長は二メートル近くありサイズは大きい方だが、ドラゴンに比べれば豆粒みたいなものだ。大きな口を開いてドラゴンはアスラを丸のみにする。



「そのドラゴンの中は内蔵ではなく魔族の力が渦巻いている。簡単に説明すれば質量の塊だ。神とはいえその中ではまともに動けまい」



ドラゴンの腹に向けて語りかけるマリン。だが、全く油断はしない。追撃の手を緩めず、無数の魔獣をドラゴンの口の中へと放り込んでいく。


「もちろん魔獣どもはその中で自由に動き回れる。生きながらにして切り裂かれる苦しみをあじわうといい」



そういうマリンだが、腹の中から聞こえてくるはずのアスラの叫び声がないことに気がつくと真剣な表情になる。







「まさか神であるこの俺を、魔獣程度の力で縛れると本当に思っていたのか?」







聞こえてきたのは悲鳴ではなく、低く、怒りに満ちた声だった。その直後、ドラゴンの体は派手な音を立てて爆裂し、それと同時に他の魔獣たちも一斉に襲いかかる破壊されていく。そしてその中心からは無傷のアスラが姿を現す。



「まさかここまでとはな」



目の前の神々しい姿のアスラを見て、マリンは思わず言葉をもらす。



マリンは今までアスラと直接戦ったことはない。だがアスラの強さは充分に理解をしており、侮ったりはしていない。その上で魔獣で押さえつけることができると考えていた。ただ、単純に見誤っていたのだ。アスラという規格外の存在を。




アスラから放たれる神々しい光によって魔獣たちは消滅していく。それだけではなく、マリンの皮膚までもがただれて焼け落ちていく。その様子を気にしたアスラは魔獣の浄化作業を中断して直接マリンに殴りかかっていく。



「魔族の力……大方メイザースの欠片をあの成り立てに渡したか。そこまでして世界を征服するための仲間が欲しいか?」




マリンに殴りかかりながら尋ねるアーノルト。マリンはアスラの言うとおり、「嫉妬」の力の源である魔族の力欠片をアーノルトの体に埋め込んだ。そうしなければ死んでしまうほどアーノルトは消耗しており、マリンは力を分け与える他無かった。そのため、現在マリンの肉体には神をも越える回復力は宿っていない。魔族の身体能力は人間をはるかに上回り、回復力もその比ではないが、頭だけを残しての緊急回避などもっての他。アスラの攻撃がかすりでもすれば充分死に直結しうるダメージとなる。



「我が同胞が必要なことは否定はしないが、お前たち神は勘違いをしている。我が母を復活させることは世界を征服するための行為ではない」

「戯れ言を……貴様ら魔族は存在そのものが悪なのだ! 貴様らの清で人間がどれだけの数、息絶えたと思っている! 貴様らを滅ぼすことこそ我々の悲願であり、世界の総意なのだ!」




アスラの拳から強烈な真空波が放たれる。攻撃は広範囲に拡がっており、直撃は避けても完全に避けきることは不可能だ。そして今のマリンではその余波でさえ大ダメージは避けられない。その事がわかってしまうマリンは唇を噛み締めるが、すぐに驚いた表情を浮かべる。



「まさか、お前が来るとはな」



迫り来る真空波に向けて呟くマリン。すると攻撃が到達する前にマリンの前にゲートが開き開く。そしてそこから大きな口を開けた赤ん坊が現れ、真空波を全て残さず飲み込んでいく。




「マリンお姉ちゃんをいじめるな!」




魔族の末っ子、ヨハン。マリンの危機を救うべく、神の前に立ちはだかる。








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