episode 51 「お風呂」
リースとレイアとケイトは風呂場へと向かっていた。リースは二人と一緒に入浴するのをためらったが、女も裸の付き合いが一番とケイトが無理やり連れ出した。
「私のような平民がレイア様とご一緒させていただいてもよろしいのでしょうか?」
「もちろんですよ。それにわたくしはもう貴族と呼べるものではありません。ケイトちゃんもいることですし、気になさらないでください。」
レイアの言葉に安心したのか、ガチガチの体がほぐれるリース。
脱衣所につき、服を脱ぎ始める三人。なぜかリースは物陰で服を脱いでいる。
「なに、こそこそしてる。」
「や、やめ!」
ケイトがリースの服を剥ぎ取る。筋肉粒々で傷だらけの身体があらわになる。リースは恥ずかしそうに物陰に隠れる。
「リースさんて・・・」
「こんな男みたいな身体、醜いですよね・・・」
下を向くリース。若干目が潤んでいる。
「おっぱい大きいんですね!」
「え?」
レイアがはしゃぐ。
「ずいぶん着やせするタイプなんですね。私よりは大きいと思っていましたがここまでとは!」
レイアは興味津々でリースの回りをくるくる回る。
「ちょ、やめてください!恥ずかしいですよ!」
リースは手ではとても隠しきれない胸をかくして顔を赤らめる。
「いいではないですか、減るわけでもないですし。少し分けていただきたいくらいです。リースさんておいくつなんですか?」
リースはおっさんと化したレイア身を隠すようにタオルを巻く。
「18です!」
「わたくしと二つしか違わないではないですか!ずるいです!羨ましいです!ケイトちゃんもそう思いますよね?」
ケイトの方を向くレイア。そこには絶壁のケイトが鬼の形相で立っていた。
「私の前で、おっぱいの話は、禁止!」
機嫌の悪くなったケイトをなだめながら中にはいる。するとケイトの機嫌はすぐになおった。
「おっきい!!」
宿として一般的な大きさの浴室だが、それでも老婆の家の風呂しか知らないケイトにとって、それは驚きでしかなかった。嬉しくてはしゃぐケイト。
「転んでしまいますよ?」
レイアが心配した通り、派手に滑るケイト。リースが慌てて助けにはいる。
むにっ!
「怪我はないですか!?」
「・・・ありがとう。」
発育の暴力に助けられ、複雑なケイト。
各々体を洗う。
リースは鏡にうつった自分の短くなってしまった髪を、残念そうに触る。
「あの髪は亡くなった母から結び方を教わったんです。髪が無くなったら何だか母も遠くへ行ってしまった気がして・・・」
心配そうに見つめるレイアに説明するように話すリース。
「でもいいんです。それにもともと他の兵士たちからは、そんな長い髪は戦場では邪魔になると言われていましたから。」
そうは言っているもののその顔はとても悲しげだった。
「その髪もとても素敵ですよ?」
「あ、ありがとうございます。」
頬を赤らめるリース。そのおでこにデコぴんするレイア。
「敬語は無しです。」
「はい。ありがとう。レイア。」
三人は風呂で親睦を深めた。一方その頃モグラは床で熟睡していた。




