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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
383/621

episode 383 「VS魔獣軍団」

魔獣は群れをなしてゼロたち三人に襲いかかってくる。


「一匹一匹はそれほど驚異ではない。だがその数では少々手をやくぞ?」


水晶越しにマリンが呟く。


マリンの言葉は予言ですらなかったが、まったくその通りとなった。子犬程度の大きさの獣が、弾丸のような速さで体当たりをしてくる。それだけでも体が吹き飛ばされるほどのダメージだ。何発も連続で食らえば当然大打撃となる。



「退避だ! 溶岩に気を付けろ!」


ゼロの声で三人は来た道を引き返していく。


「引き付けて溶岩に落とそうってんだな!」


ゼロたちは洞窟の入り口まで戻ると、左右に飛び退く。計算ではスピードを落とせなかった魔獣たちがマグマへとダイブしていくはずだった。だがしかし魔獣たちはピタリとその足を止め、一匹たりともマグマへと落ちていく魔獣は居なかった。


「もう! 頭いいじゃん! 獣ってバカじゃないのかよ!」


ロミーが手足をばたつかせる。



「私が作った魔獣だぞ? 雑種と一緒にしてくれるな」


マリンは退屈そうに紅茶に手を伸ばす。



「早く上ろうぜ!」


レックスは火口から出ようと壁に手をかける。しかしゼロは銃を構え続ける。


「何やってんだ! まだ戦う気か? あの数見ただろ!?」



「所詮はその程度の連中か。ならばせめて餌として役に立ってくれ」



水晶から目を離そうとしたその時、魔獣の一匹の気配が消える。


「ん? まだやる気か?」




「当然だ」


ゼロは銃で魔獣を攻撃しつつ、ナイフを投げつける。何発かは避けられてしまうが、それでも何発かは命中する。魔族とは違いそれほど耐久力は無いようで、攻撃が当たりさえすれば倒すことはできそうだ。


「いける……いけるぜ!」


ゼロが敵を仕留めたことでレックスも戦う気力を取り戻し、再び魔獣と向かい合う。


「もう、張り切りすぎてマグマに落ちないでよ!」


レックスを注意しながら構えをとるロミー。



「なかなか勇敢な人間たちじゃないか。もう少し楽しめそうだ」


マリンは椅子へと移動し、紅茶に口をつける。



勝機は見えた。だが相手は魔獣、動きはゼロたちを遥かに上回り、攻撃力も高い。おまけに思考能力まである。しかしそこに付け入る隙がある。


ゼロが殺気と銃口を魔獣の群れへと向ける。それを過敏に感じとる魔獣たち。ゼロの思惑通り魔獣はまんまと分散され、散り散りになっていく。



「勢!」



そして魔獣が逃げた先にはロミーの拳が。鈍い音を立てながら今度はレックスの方へと飛ばされる魔獣。


「さっきのお返しだぜ! お前かどうかわかんねぇけどよ!」


弱った魔獣の顔の無い顔面を蹴り飛ばすレックス。魔獣はそのままマグマの中へと落ちていった。



「さて」


ゼロが硬直する魔獣たちに視線を送る。れは冷たく、鋭く、隣で戦っているレックスたちにも恐怖を与えていく。



「思考があるということは、当然恐怖もあるということ。次に死にたいのはどいつだ?」



魔獣たちはゼロの視線に怯え、体を小刻みに震わせる。



「わ!」



そこでロミーが大声をあげると、魔獣たちは洞窟の奥へと逃げていった。


「もともと俺たちが姿を現しただけで姿を隠すような連中だ。とるに足らない」


ゼロは銃に新しい弾を込めながら呟く。


「でもこれじゃ振り出しに戻っただけだぜ? また洞窟で戦うのか?」

「いや……」


ゼロが答える前に答えが聞こえてくる。



「確かに思考を与えすぎるというのは良くないな。結果としてそれでは魔獣を使う必要がない。コマで充分だ」


マリンが興味深そうに水晶を見つめる。


「さて、次の実験だ」



ドスンと大きな音がする。それが一歩進むごとに溶岩が跳ね上がり、ゼロたちを襲う。


「来るぞ……!」


別の魔獣が姿を現した。それは先程のものとは違い、一目見ただけで魔獣とわかる禍々しさで、ヘルメスの森で出会った個体を彷彿とさせる。大きさもゾウ程度は余裕であり、踏み潰されればそれで終わりだ。


そしてそれは先程の魔獣に負けるとも劣らないスピードでこちらに向かって飛びかかってきた。




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