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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
374/621

episode 374 「アテナVSレヴィ」

魔女の第二子供、そして第三子が揃ったことにマスターは感動を禁じ得なかった。目の前には未だに無傷の十闘神、アテナがいるというのにその絶望感はかなり薄れていた。


一方のアテナはレヴィが現れたことに対してそれほど動揺はしなかったが、彼の握りしめた剣を目視したとたん、その態度を急変させた。


「貴様っ! それはアレスの剣!」


レヴィが手にしたエクスカリバーを指して叫び声をあげるアテナ。


「アレス? 聞かん名だな。何にせよ今の所有者は俺だ」


レヴィは剣を構える。エクスカリバーの加護のせいで自分自身の憤怒の力も発揮できないが、アテナの浄化の力も無効化される。



「その薄汚い手を離さないというのなら、腕ごと渡してもらおう」

「神とはいえ元は人間。生まれながらの魔である俺に勝てる道理は無かろうて」



二人は剣を合わせる。


「勝てるでしょうか……?」


マスターがメディアに不安そうな表情で尋ねる。レヴィの強さはよく知っているマスターだが、先程見せられたアテナの強さはそれを遥かに上回っていた。エクスカリバーについて詳しく知らないマスターは、レヴィがそれを手にしたところでアテナに対抗できるかどうか正直分からなかった。



「勝ってもらわないと困るわね。姉さんはどうせ呼んでも来ないし、私ではあの神には勝てないわ。もし兄さんが負けたら潔く死にましょう」



メディアにも勝負の行方はわからなかった。ただ、レヴィを信じて待つしかなかった。



レヴィとアテナの剣が交わる。アテナの剣の力はエクスカリバーによって完全に押さえられ、勝負は単純な剣の腕によって左右される。互いに長年剣を手にし、その力を高め続けていた二人。その剣技は既に人類では到達不可能な領域まで来ていた。


「嬉しいぞ偽神。お前のような使い手はイシュタル以外では初めてだ」


高ぶるレヴィ。自身の鍛え上げた力を存分にアテナへとぶつける。


「私の子孫たちがいるだろう?」


アテナは涼しい顔で告げる。


「……っち!」


ジャンヌの存在を思い出すレヴィ。


「あの程度の娘など万全の状態ならばわけはない!」


レヴィの剣に力が増す。憤怒の力は剣によって抑えられているはずだが、それでもレヴィの顔には怒りが溢れんばかりに浮かんでいた。


アテナはレヴィを相手にしながらもメディアへの警戒を怠ってはいなかった。


(敵は魔族……いくら兄妹とはいえど、この男もろとも私に攻撃を仕掛けてくる可能性は充分にある)


メディアは不適な笑みを浮かべていた。だがそれは決して不意打ちを仕掛けようとしているからではない。単純に信じているのだ、長年寄り添った兄の力を。



「マスター、見ておきなさい。あれが私たち兄弟の長男の力を」



レヴィはエクスカリバーの加護に適応しつつあった。


(大分怒りのコントロールが利くようになってきたな。なんてことはない、イシュタルもこの剣を腰にぶら下げながら加護を二つも操っていたのだ、俺に出来ないはずはない)


レヴィの力の変化をアテナも感じ取っていた。


(私たちの力を抑えるために作ったエクスカリバーに適応している……シャクだがやつの力は本物だ。早めに勝負を決めなければいささか面倒なことになりそうだな)


アテナは身につけた鎧を脱ぎ捨てる。かぶとの下からはオレンジ色の髪が現れた。体つきは実に華奢で、見た目は十六、七の少女にしか見えない。


「なんだ? 悪いがお前の貧相な肉体では俺を懐柔させることなどできんぞ? それとも命乞いの準備か?」


レヴィがアテナを挑発する。



「そのどちらでもない。私の鎧は私の力で紡いでいる。その剣相手では裸同然なのでな、脱がせてもらう。それとこれは単なる防具ではない」

「そうかい!」



隙だらけのアテナに斬りかかるレヴィ。


「だめよ兄さん!」


アテナの異常なオーラの膨れ上がりにいち早く感づいたメディアがレヴィに叫びかける。



「これは防具ではなく、拘束具だ」



アテナは剣を縦に振り下ろす。大地が避けるほどの衝撃がレヴィを襲い、彼の右半身は跡形もなく消え去った。


「なっ、なに……!」

「私の力の序列は十人中第四位。貴様ごとき相手ではない」



アテナはレヴィの残された左半身に向けて、もう一度剣を振り下ろした。








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