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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
343/621

episode 343 「魔獣狩り」

弾は残り六発。敵は獣型八匹、鳥型四匹、異形型二匹。


獣型は大型の肉食獣といったところか。熊や虎によく似ている。鳥型は鷲や鷹のようだ。しかし異形型はその名の通り、言い表すことが困難だ。形もよく定まらず、二匹で一体なのかもしれない。そのようなものに銃による攻撃で効果があるのかは不明だ。獣型に対して効果があるのは実証済みだが、やつらに対してはナイフでの攻撃も有効であると推測できる。と、なると銃で狙うべき相手は必然的に鳥型となる。


機動力に長ける鳥型もゼロの殺気に気がついたのか、狙いを定められないように素早く動き回る。全長は雄に二メートルを越すが、その体格に似合わず隼のようなスピードでゼロを翻弄する。二本の巨大な足には鉄ような鉤爪を有し、あの足に捕まれたら死ぬまで逃れることは出来ないだろう。



(だが、所詮は生物。生きているということは、死ぬということだ)



ゼロは鳥に狙いを定める。


(飛行中に撃ち抜くのは困難だ。だが方向転換の際、必ず隙が生じる)


鳥の様子を伺うゼロだが、その間にも他の魔獣たちが迫ってくる。


(かといっていつまでも待っているわけにもいかないな)


刻一刻とゼロの血は減っていく。アドレナリンのお陰で痛みは感じないが、命はどんどんすり減っていく。


鳥がゼロの弱った様子を見てこちらに急降下してくる。


(今だ!)


ゼロは三百キロを越す鳥に向かって銃を向ける。頭部を狙って発砲するが、その弾は鳥の鉤爪にとらえられてしまう。


「さすが、いや当然と言うべきか」


ゼロは更に発砲する。鳥はもう一方の鉤爪でそれを掴み取る。


「さて、次はどうする?」


鳥は急いで方向転換しようとするが、もう遅い。次なる弾は鳥の脳天を撃ち抜いた。


「まず一匹」


仲間がやられたことで鳥たちにも多少の動揺がみられるが、すぐにまた襲いかかってくる。



(殺れないことはない、だが一匹に三発も使ってしまった)


ゼロに残されたのは三発の弾。残りの敵も三匹。


(一発一殺か)


ゼロは弾に殺意を押し込める。魔獣たちは普通の動物よりも遥かに感覚が鋭く、その人間から放たれる尋常ならざる殺気に過敏に反応する。そして一秒もない短い時間だが、その動きを止めてしまう。そしてゼロはそれを決して見逃さない。


銃から放たれた三つの弾丸はその軌道を一切変えることなく、三つの脳天へと向かって進んでいく。そしてその中身を外へと撒き散らしながら鳥たちは地面へと落ちていく。




「ゼロ! 後ろだ!!」


木の上へと移動したリザベルトがゼロに向かって叫ぶ。


敵を倒して油断した、そんなことは戦場では許されない。振り返るとそこには大きな爪をこちらに向けて振り下ろす獣型の魔獣の姿があった。


ゼロは慌てずナイフを取り出そうとするが、急にふらつきナイフを落としてしまう。


(くっ、血を流しすぎたか……!)


落としたナイフを拾っていたら頭蓋骨を粉砕されてしまう。かといって素手で渡り合える相手ではない。一か八か木の上から剣を投げつけようとするリザベルトだったが、後方から聞こえてくる足音にその手を止める。


「新手か!?」


急いで振り返るリザベルトだが、そこに足音の正体は無い。が、足音は聞こえる。それも今まで自分がゼロを見ていた方角から。


(バカな……もう……)






「何やってんだ? ゼロ」



よく聞いたことのある声がする。その声の主はとてつもないスピードで魔獣とゼロの間をすり抜ける。その風圧で魔獣は体を後ろへと反らし、その隙にゼロはナイフを拾って魔獣の首もとに突き立てる。


「グガァァァァォァ!」


悲鳴をあげながら倒れる魔獣。だが魔獣はその一匹だけではない。次々にやってくる。だが次の瞬間、ヒュンヒュンヒュン! と空を切る音がする。それらはまっすぐと魔獣のもとへと飛んでいき、やつらの目を貫く。


「手応え無さすぎ」


遥か彼方の木の上から女性が弓を構えながら呟いている。



「一体何が……」


全く状況が理解できないリザベルトが目を見開きながら口を開く。


土ぼこりが晴れていき、ゼロの前を走り去った人物の影が見えてくる。



「生きていたのか」


彼の特徴的な羽のついた帽子を見て、ゼロが呟く。


「ああ、互いにな」


殺し屋、銃殺のジャック。組織の崩壊により行方不明になっていた男が目の前に立っていた。




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