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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
324/621

episode 324 「オルフェウスの命令」

ゼロが絶望に陥ったわずか数分前、事は起きていた。



イルベルトの力によって四人はモルガントへ渡った。移動した先はヨハンが暴れまわった帝国の中心部付近だ。


「ふん、もう来たくはなかったがな」


着いて早々パーシアスが不満を漏らす。


「こうも簡単に侵入できるとはな」


イルベルトは少し拍子抜けのようだ。


イルベルトの力は一度訪れた場所へしかワープできない。だが一度侵入してしまえばそれ以降いつでも出入り可能だ。



「無駄話はそこまでよ。オルフェウスの言っていたコマとやらを探しましょ」


リラはさっさとこの仕事を終わらせたいようだ。



アーノルトは改めてこの国の異常さを見に感じていた。辺りは静まり返り、ヨハンによって町は破壊されている。


「魔族一人暴れただけで国が崩壊寸前まで追いやられるとはな」

「ああ、だからこそオルフェウスを敵に回すわけにはいかない」


イルベルトがアーノルトに告げる。もうオルフェウスに挑むのはやめろと言わんばかりに。アーノルトはわかってか、そうでないのか、直ぐに目線を反らす。


「行くぞ」


歩きだすアーノルト。


「行く? どこへだ? 行き先は聞いていないぞ?」


若干小バカにしたように尋ねるパーシアス。



「マリンやオルフェウスと長く居すぎたせいか、俺にも魔族の気配とやらが感じ取れるようになった。そのコマとやらの気配もな」


そう言ってアーノルトは中心部から離れた森の方を指差す。



「……感じ取れるか? 我らもオルフェウスとともにいるはずだが」


パーシアスが不安そうな顔でイルベルトに話しかける。


「いいや、あの男が特別なだけだ」


イルベルトはきっぱりと答える。



散々な中心地を抜けると比較的被害が少ない帝国軍本部が見えてきた。


「ふん、まったくもって無能の集まりだな。これだけ大層な建物を構えていながら被害を防げんとは。蹴って正解だったわ!」


唾をはくパーシアス。


「もう突っ込まないわよ」


リラが冷たく告げる。



「居る。しかも三人だ。おそらく魔族から何かしらの力を授かっている。油断すれば足元を掬われるぞ」


アーノルトが警戒を強めながら三人に告げる。


「言われているぞリラ、死にたくなければ死ぬ気で警戒することだな」

「パーシアス、お前に言っているんだ」


リラをバカにするパーシアスを咎めるアーノルト。しゅんとするパーシアス。



「そこまでだ。どうやら敵は他にも居るらしい」


イルベルトが人影をとらえる。


「……まてよ、あれは」


人影がくっきりとしてくる。どうやら向こうもイルベルトに気がついたようだ。


「追うぞ!」


イルベルトは三人に声をかけ、逃げ出した人影を追う。



「おい! あれイルベルトだよな!? なんでここに居るんだよ!」


全速力で逃げながらワルターに叫ぶフェンリー。


「俺が知るわけないだろう!? 」


ワルターが答える。


「な、なんなんですのあの方は! わたくしにわかるように説明してくださる!?」


訳もわからず逃げることになったセシルが息を切らしながら問いかける。


「殺し屋さ! それもとても厄介な加護を持っている!」


妹を庇いながら走るワルター。


「またあの組織の人間ですか! いい加減にしてください、こんな状況で!」


レイアを気にしながら走るリースが苛立ちを顔に表す。



(ゼロさん……)



ゼロが戻ってくると信じてただひたすらに逃げるレイア。だが現実は無情にもレイアとアーノルトを引き合わせる。



圧倒的な速度でレイアたちに追い付くアーノルトら。



「お前が眷属だな?」


アーノルトの鋭い視線がレイアを貫く。


「わ、わたくしは……」

「一緒に来てもらおう」


アーノルトはレイアに襲いかかった。




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