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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
323/621

episode 323 「闇の化身」

自分を奮い起たせ、穴に飛び込んでいったヴィクトルを待っていたのは絶望だけだった。


隅にはぼろ雑巾のようにされたガイアとローズの姿、そしてまさに今シオンまでもがそうなろうとしていた。


「っか!」


シオンの腹に闇と化したオルフェウスが突撃し、体内を抜けて外へと出ていく。一気に体の中をめちゃくちゃに破壊され、口から大量の血を吐き出すシオン。



「だ、だいじょ……」

「来ないで!」



声をかけようとするヴィクトルを拒絶するシオン。


「今すぐ穴に戻って! みんな殺されちゃう!」


シオンが指を指すが、もうそこに穴は無かった。唇を噛み締めるシオン。



「誰かと思えばメイザースのコマどもか」



闇が人の形を成していく。


外見は二十歳そこらだろう、銀の短髪を後ろへと流している。目付きは鋭く、くっきりとクマがついている。両手の形はやや不安定で、そこから闇を放出している。



「な、なんなのだ! なぜ我々を知って……」

「知っているとも、ヴィクトル」



オルフェウスは一瞬のうちに移動し、ヴィクトルの頭を闇で包み込む。



「俺様はオルフェウス。魔女の第四子」



声が直接頭の中に響いてくる。


「お前たちは生かしておいてやる。俺の下に加わるならな」

「ほ、他の者はどうするつもりなのだ!」


今にも頭がどうにかなってしまいそうだが、勇気を振り絞ってオルフェウスに突っかかるヴィクトル。そして直ぐにその行動を後悔した。



「コマごときが、誰に口をきいている? お前の答えは、ハイかイエスか加わります、だ」



ヴィクトルはオルフェウスの強烈な殺気に当てられ、膝から崩れ落ちる。


「リー……」


それを見て駆け寄るシェイクも簡単に気絶させられてしまう。




『氷牙!』



オルフェウスの背後から攻撃を仕掛けるシオンだが、オルフェウスは人型から霧状へと姿を変えて攻撃を回避する。


「そんなものが効くとでも思っているのか」


空中に漂うオルフェウスがシオンに闇を飛ばす。


「きゃ!」


シオンはその場にうずくまる。



「その闇のなかで存分に後悔することだな」


シオンは闇の中へと堕ちていった。



「さて、事態は動き出している。メイザースが死に、レヴィとヨハンは逃走、そして神どもも動き出した……」


オルフェウスは空中に手をかざす。すると例のワープホールが開き、逃走していたイルベルト、パーシアス、アーノルト、おまけにリラが現れる。



「な!」


顔をひきつらせるパーシアス。


「無様にも逃走するとはな、お前たちの処分は後だ。今すぐモルガントへ向かえ。そこにメイザースのコマがいるはずだ。生け捕ってこい」


言いたいことはたくさんあったが、誰も口を開こうとはしない。



「了解」


イルベルトはそう一言答え、加護を発動する。四人はモルガントへと渡っていった。





ゼロは重いまぶたを開ける。どうやらぐっすり寝てしまったようだ。


(随分と腑抜けたものだな)


目を擦り、立ち上がる。屋敷の様子からしてまだレイアたちは戻ってきていないようだ。


(待っていてもいいが……)


いてもたってもいられないゼロ。考えた末、探しに行くことにした。


簡単に身支度を済ませ、屋敷の門を開ける。避難するとしたら裏手の森だろう。森の方へと歩きだすゼロ。だが直ぐに直感する。



(殺気……)



辺りを見渡すが、人の気配は感じられない。だが確かにここに誰かがいた。微かだが血の臭いもする。


(冗談ではない)


想像したくないことを次々に想像させられる。


(大丈夫だ、フェンリーもワルターもリースもいた。そう簡単にやられはしないはず……)



次の瞬間、ゼロは自らの目を疑った。


「アーノルト……!!」



そこにはアーノルトのものとおぼしきクナイが落ちていた。何者かの血がベッタリと付いた状態で。




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