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スティールスマイル  作者: ガブ
第一章 ゼロとレイア
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episode 32 「帝国軍」

砂漠地帯を抜けて一安心の三人。

次は巨大な運河が行く手を阻む。流れが速く、泳いで渡るのは無理そうだ。迂回しようにもどこまで続いているのか分からない。


「橋を探すぞ。どこかにあるはずだ。」


三人は橋を求めて運河沿いに歩く。しばらく行くと確かに橋はあった。だが崩壊していてとても使える状態ではなかった。


「向こう岸に渡りたいのでしょうか?」


落胆する三人に後ろから声をかける少年。軍服を着たその少年は三人が警戒するのを見て慌てて自己紹介をする。



「申し遅れました。私はイアン・レンバー伍長です。先日の嵐で崩壊した橋の修繕作業にあたっています。」


「他に橋はないのか?」


ゼロが訪ねる。


「ありますが、ここから下流に200キロほど進んだ地点です。」


絶望的な情報を意気揚々と伝えるイアン。


「あとどのくらいで修繕できるのですか?」


レイアが訪ねる。


「そうですね、1ヶ月ほどかと。」


下を向くレイア。そんなレイアの様子を見てイアンが得意顔で話す。



「よかったら軍の船でお送りしましょうか?上官に掛け合ってみますよ?」


「本当ですか!ありがとうございます!」


レイアの顔が明るくなる。それと同時にゼロの顔は険しくなる。



三人はイアンの案内で軍の駐屯所を目指す。



「この男信用できると思うか?」


ゼロは前を歩くイアンの耳に入らないようにレイアとケイトに訪ねる。


「わかりません。ですが、このまま立ち往生するよりは彼を信じてついていった方がいいと思います。」


「賛成。歩きたくないし。」


確かに今のところイアンに怪しい点はない。が、見ず知らずの人間を名前も聞かずに軍の施設に案内するだろうか。ゼロの不安は解消されない。


そうこうするうちに駐屯所についてしまったです


「ここが我ら小隊の駐屯所です。」


イアンは中に三人を案内する。



「中尉!橋を渡りたいと言う旅人を連れて参りました!」


イアンは元気よく上官に報告をする。



「レンバー伍長、また部外者を連れてきたのか。何度言えばわかる、一般人を軍の船で送ることはできない。お引き取り願え。」


その凛々しい女性の声にレイアは聞き覚えがあった。


「もしかして、リザベルト?」


「誰だ、私を呼び捨てにしたのは。」


レイアの声に反応して、一人の女性が奥から現れた。


金髪を後ろで束ねたその女性は、正しくヴァルキリア家三女リザベルトだった。



「レイア!なぜお前がここに。」


レイアのとなりにいる無表情の青年に目が行くリザベルト。



「・・・訳ありか。とにかく話を聞こう。奥の部屋に来てくれ。」


警戒するゼロを引っ張ってついていくレイア。ケイトも仕方無くついていく。



これまでのいきさつを大まかに説明するレイア。




「大変な思いをしたな、だがここまで来ればもう安心だ。しばらくは私の家に居るといい。歓迎する。」


「本当ですか!」


ゼロにハイタッチをするレイア。



「・・・ゼロ、といったか。悪いが君を連れていくことはできない。ケイト、君も同様だ。」


「どうしてですか?お二人共わたくしの友達です。」


レイアは納得できない様子でリザベルトに詰め寄る。


「理由は一つだ。君達が元殺し屋だからだ。そんな不穏分子を屋敷に招くことはできない。そもそも君の役目はレイアのボディーガードだろ?ここからは軍がレイアを守る。君の役目はここで終わりだ。」


リザベルトはゼロをにらむ。

だが、そうやすやすとゼロも引き下がらない。


「レイアの件は感謝する。だがな、俺の雇い主はレイアだ。貴様じゃない。俺の仕事の邪魔をするな。」


リザベルトをにらみ返すゼロ。


「ゼロ。相手は軍人の中尉。逆らっていいことない。」


ケイトがゼロの服をつかんで言う。


「ケイトの言う通りだ。最強の殺し屋だかなんだか知らないが、貴様ごときが我々に歯向かうつもりか。」


リザベルトは剣の柄に手を触れる。


「やめてください!ゼロさんも、リザベルトも!」


レイアを後ろに下がらせるゼロ。


「そうだと言ったら?」


ゼロはリザベルトを挑発する。


リザベルトは挑発に乗り、剣を引き抜く。



「殲滅する!」



火蓋は切って落とされた。










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