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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
303/621

episode 303 「もう一つの目的」

共に行動することに決めたといっても、ヴィクトルとガイアの溝はそう簡単には埋まらない。ヴィクトルとシェイクにとって仲間は家族も同然だ。家族を殺した男と同じ空気を吸っている、それだけで頭がおかしくなりそうだった。


レイアも険悪な空気を感じ取っていた。唯一の救いはジャンヌの存在だ。彼女がいることでこの場の秩序が保たれている。



「ヴィクトルさん、ガイアさんにもきっと事情が……」


なんとか自分も役に立ちたいとヴィクトルに声をかけるレイア。


「……レイアさん、お気遣いは嬉しいのだが、あなたは事情があればそこのゼロさんを殺されても納得できるのか?」

「そ、そんな事……」


ヴィクトルはそっぽを向く。逆効果だったと落ち込むレイア。



六人はローズたちと合流するために宿へと向かった。


宿でガイアの姿を見たローズたちの驚きは相当のものだった。もともとガイアを追いかけてきたものの、そう簡単に発見できるとは考えていなかったからだ。



(よかった、レオグール中佐に訃報を伝えずにすんで)


ローズはほっと一息つく。


ガイアの件が終わると、皆の注目は当然ヴィクトルたちに移る。



「して、そちらの方々は」


リザベルトがジャンヌに尋ねる。


「えーと」


そういえば自己紹介をされていなかったことに気がつき、言葉を詰まらせるジャンヌ。



「ヴィクトルである。アテナ教戦闘部隊、戦僧のリーダーである」


ヴィクトルが空気をよんで自己紹介をする。


「シェイクっす! いまは副リーダーっす!」


シェイクも場を悪くしないように元気よく挨拶をする。



「よろしく頼む、私はリザベルト。帝国軍の中尉だ。こちらは姉のローズ大佐」


リザベルトがローズを紹介する。ペコリと頭を下げるローズ。


「そしてあちらに倒れているのが曹長のリース」


リースはまだ目を覚ましていない。外傷はほとんどないのだが、レヴィの圧倒的な魔の力に飲み込まれ、昏睡状態にある。同じくフェンリーとワルターも起き上がらない。



ジャンヌはローズたちに今後の任務を言い渡す。


「まず一つの目標であるガイアの確保は成功を収めたわ。でも一応私たちの本来の目的はレヴィ元元帥の討伐、もしくは確保。それはまだ成されてはいないわ。これを達成しないことには今回の遠征も無駄になってしまう」


いつにもなく真面目な表情のジャンヌ。ローズとリザベルトは真剣に姉の話に耳を傾ける。


「だが、相手は元帥だ。しかもイシュタル元帥を倒した手練れ」


ガイアが口を挟む。イシュタルを倒した、その言葉の重みが兵士たちにのしかかる。



「イシュタルさん、やられちゃったんですか?」


小さな声でレイアがゼロに尋ねてくる。ゼロは一言ああと返す。



「だが、レヴィは姿をくらませたのだろう? 行き先に心当たりはあるのでしょうか?」


ヴィクトルがジャンヌに尋ねる。それについては他の者も気になっていた。


「いいえ、でも予測はできるわ。ねえ、ゼロ君?」


ゼロに問いかけるジャンヌ。ゼロは一呼吸置いて話始める。



「奴らの使うワープホール。おそらくどこにでも飛べるというわけではない。魔族ゆかりの地か、他の魔族のいる地点か、どちらにせよ限られてくるはずだ」


ゼロは自らの経験上、そう結論付けた。


「そうね、私もそう思うわ」


ジャンヌが返事をするが、ヴィクトルにはまた新たな疑問が生まれる。


「む、だが他の魔族の居場所が分かるのですか?」


ヴィクトルは見当もつかない。それについてはゼロも同じだった。


「いいえ、でも怪しい所には人を送ってあるの。とりあえずしらみつぶしに探してみましょ?」


ジャンヌはヴィクトルに笑顔で答える。その笑顔をみて、ヴィクトルはこれ以上問い詰めるのをやめた。



「ならば急いで向かおう。まずはどこに行く?」


ゼロが尋ねる。



「ファウスト」


ジャンヌは一言そう答える。ゼロを始め、レイア、ヴィクトル、シェイクには聞き覚えの無い言葉だったが、それを聞いたガイアの顔は明らかにその場所を知っているようだった。



「ファウスト、と言ったのか?」


思わず聞き返すガイア。


「ええ」


平然とした顔で答えるジャンヌ。不穏な旅の予感がする。



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