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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
299/621

episode 299 「決着」

ジャンヌの体は赤い飛沫をあげて吹き飛ばされていく。レヴィの太い体毛が全身に突き刺さり、痛々しい姿となって床を転がり回る。


ジャンヌが身を呈して戦わなければ、ローズたちも巻き込まれてしまっていただろう。



「ぐははは! 後は貴様だ!」


ある程度怒りが収まったのか、先程までよりは人形に近づいているレヴィ。身長は三メートル程に縮んだが、体重が軽くなったことでスピードは増している。


「くっ!」


ゼロはローズたちを後ろに隠し、レヴィに向かっていく。


(ナイフは通らない、直接攻撃などもっての他だ。ならばやはり銃しか……)


レヴィのサイズが変わっても、びっしりと全身を覆う毛の量は変わっていない。サイズが変わったことで密度はさらに増している。


(勝機はある)


ゼロは銃口をレヴィに向ける。



「ぐははは! 無駄だ無駄だ!」


自分の体に絶対的な自信を持つレヴィは笑いながらゼロに突進してくる。ゼロは狙いを定め、引き金を引く。


(眼球、そこならば弾は通る)


ゼロは唯一毛で覆われていないレヴィの目目掛けて弾を打ち込む。だが、レヴィはそれすら読んでいた。



「甘いわ!」


レヴィは目を手でガードする。これでは弾は通らない。案の定弾かれてしまうが、ゼロはまるで弾かれるのを予感していたかのように余裕の表情をしている。


「……何を考えている?」


疑問に思うレヴィ。次の瞬間、背中に悪寒が走る。だがその時にはもう遅かった。



「背を向けるなんてね、一応戦闘中なのだけれど」


「がっ! 貴様……」



レヴィの背中には深々と剣が突き刺さっていた。体を守る体毛はへし折られ、無惨にも床に散っている。


「貴様、まだ動け……!」


ジャンヌの纏うオーラに驚愕するレヴィ。


「それは、奴らの!」


ジャンヌは力を解放した。先刻の戦いでアーノルトを圧倒したあの力を。



「あまりこの力には頼りたくなかったけれど、仕方がないわ。だってあなた強いんですもの」



そのまま剣をレヴィの体の中へと差し込んでいくジャンヌ。


「う、ごっあ! あああああ!」


獣のような悲鳴を上げ、もがき苦しむレヴィ。時折体毛を伸ばし、ジャンヌに攻撃を仕掛けるが、いとも簡単に避けられてしまう。



(あれがジャンヌの力……確実に人類を超越している)


ただ驚くことしか出来ないゼロ。その圧倒的な力を前にしては情けなさすら感じない。


「とにかく皆を避難させなくては」


ゼロはローズやフェンリーたちを部屋の外へと運び出す。




力を。解放してから終始レヴィを圧倒したジャンヌだったが、その力は長くは続かなかった。ぷつんと糸が切れたかのように突如動きを止めるジャンヌ。


「思ったより、早かったわね」


バタンと倒れ、動かなくなる。レヴィにとっては絶好のチャンスだが、ジャンヌから受けた傷は思ったよりも深く、ジャンヌへの攻撃よりも傷の回復を目論む。


ゼロの方をちらりと見るレヴィ。


「殺す、殺してやる、殺されろガキ共」


そういうレヴィの声はか細く、今にも消え入りそうだった。レヴィの体はすっかり人形に戻ってしまい、剣を杖がわりに壁の方へと歩いていく。



「行かせるか!」


ゼロはこの機を逃すまいとナイフを手にレヴィに駆け寄る。が、一足遅く、レヴィは作り出した穴の向こうへと消えていった。


さすがに一人でこの穴の向こうへ追いかけていくのは無謀と判断したゼロは、倒れているジャンヌに手を貸し、部屋を出る。



「悪いわね、ゼロ君」

「いや、お前のお陰で助かった。今は休め」



ゼロの背中でぐったりとするジャンヌ。


「そうさせてもらうわ」


ジャンヌはそのまま目を閉じた。



レヴィは廃墟で叫び声を上げていた。



「くそが! この俺があんなガキどもに!」


暴言とともに血を吐き出すレヴィ。


「がっ! あの女ァ! 必ず八つ裂きにしてやる!」


張り裂けそうな痛みに耐えながら、レヴィはジャンヌへの復讐を誓う。



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