表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
295/621

episode 295 「マリンVSゼロ」

気を強くもつゼロ。一度マリンの気に飲み込まれてしまえば、二度と戻ってくることは出来ないだろう。


「一つ言っておこう。私は無駄なことが大嫌いだ。そして報酬の出ない労働も話にならない。お主たちを殺したところで私には何のメリットも無い」


マリンから敵意が消える。


「じゃ、じゃあ!」


レイアが嬉しそうな顔を見せた瞬間、隣のゼロの体がバタりと倒れる。



「だが嘘も嫌いだ」



マリンは一歩も動いていなかった。指を少し動かしただけだ。


「ゼロさん!」


叫ぶレイア。ゼロは額から血を流していた。だがその左手は決して離さなかった。


「大……丈夫だ。問題ない」


足をガクガクさせながら立ち上がるゼロ。


(なんだ今の攻撃は。全く見えなかった。超スピードなんてレベルじゃない。体の内側から直接攻撃を受けたかのようだ)


マリンは椅子に腰掛けながら、やる気の無さそうな顔でパチパチと手を叩く。



「やるじゃないかゼロ。今ので気絶しなかったのは誉めてやる。よし、生き残るチャンスをやろう」



そう言うとマリンは両手を開いて前に出す。


「これから十発攻撃を加える。避けてもいいし、もちろん反撃をしても構わない。もし生き残っていたとしたら見逃してやる」


マリンは指をデコピンの形にする。


「ほ、ほんとうですか! ですが……」


喜ぶレイアだったが、すぐ横のゼロを見る。ゼロの体はかろうじて立っているに過ぎなかった。もしさっきと同等の攻撃があと十発来るとしたら、とても耐えきれそうにはない。


「大丈夫だ、心配するな。二人で生きて、ここを出るぞ」


ゼロはぎこちない顔でレイアにほほえみかける。



「随分とおとなしいじゃないか。私の言葉を信じるか?」

「ああ、嘘は嫌いなんだろ?」



ニヤリと笑うマリン。


「確かにそうだ。だがな……」


指を弾くマリン。


「お主を狙うとは一言も言っていないぞ?」


弾かれた指が向いた先はゼロではなくレイアだった。音速を越えたマリンの攻撃を避けることなど到底不可能だった。ゼロの隣からレイアの姿が消える。握った手は離れ、レイアの体は壁に叩きつけられる。



「レイ……ア?」



口から血を流しながらレイアは気を失っていた。攻撃が命中したと思われる肩は服と肉が抉れ、レイアの白い服を赤く染め上げている。もし命中箇所があと数センチ胴体に近かったなら、レイアの腕は吹き飛ばされていただろう。そしてさらに胴体に近かったなら、心臓を貫かれ、一瞬のうちに息絶えていただろう。


「とっさに体をずらしたのか? かろうじて息はあるようだが」


マリンは次の指に力を込める。


ゼロの呼吸が乱れる。だんだんと赤く染まっていくレイアの体を見つめる。



「手、離れてしまったな」



ぷつん



マリンの言葉でゼロの視界が暗くなる。脳が余計な情報を遮断し、目の前の敵にだけ意識を集中させる。



「殺してやる」


「ほう、やってみろ」



ゼロはマリンに飛びかかる。右手に銃を、左手でナイフを握る。銃を撃ちながらマリンに近づき、左手のナイフで喉元を狙う。


それらを一切よけないマリン。なぜならゼロの攻撃はマリンの手前で失速し、一切のダメージを与えられなかったからだ。


「動きは悪くない。組織最強と呼ばれただけの事はある。アーノルトと肩を並べたというのも嘘では無いらしい」


マリンは優雅に紅茶をすすりながらゼロの動きを評価する。だがそれらの言葉はゼロの耳には入らない。銃やナイフが効かないとわかると、直接マリンの腕をつかみ、へし折ろうとする。だがマリンの腕は鋼鉄のように固く、全く動かない。


「女声の腕を無理やり握るとは、なんともデリカシーの無い男だな」


マリンが指を弾く。



「ごはっ!」


ゼロの体が吹き飛び、口から大量の血を吐き出す。内蔵がやられたらしい。


(この攻撃をレイアが?)


痛みを遥かに凌駕する怒りと憎しみが込み上げてくる。


「あと八発」


マリンは次の指を構える。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ