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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
287/621

episode 287 「VSレヴィ」

ワルターとフェンリーはレヴィに対して容赦なく攻撃を浴びせ続けた。レヴィの体は切り裂かれ、所々凍らせれ、とにかく真っ赤に染まっていた。


「フェンリー! 一気に片付けよう!」

「おうよ!」


一切反撃をしてこないレヴィ。じっと攻撃を耐えている。二人はありったけの力をぶつけ、大切なメディアを邪魔する男を消し去ろうとする。


メディアは九割不安、一割期待の割合で戦況を見つめていた。



(お兄様は基本カウンター型。物量で押しきれない事も無いはず……だけど)



戦況は圧倒的にワルター、フェンリー組の有利。だがレヴィの表情に焦りはまったく見えない。



(私はお兄様が押しきられたところを見たことがない。二千年間一度も)



突如空気が変わった。ワルターとフェンリーがそれに気がついたときには、もうすべてが遅かった。


まるで小屋の中に雷が落ちたかのような衝撃だった。まず近くにいたワルターが体を九の字に変形させながら吹き飛ばされていく。瞬時に氷の盾を作り、身を固めるフェンリーだったが、それは障子紙のように突き破られワルターと同じ末路を辿る。



(やっぱりね)



メディアは身の危険を感じ、すぐに姿を消す。




「ボーナスタイムは終わりだ。クソガキども」


レヴィの体は完全に人の形を捨てていた。腕は何本あるかも分からず、そのすべてが狂気を帯びていた。全身を覆う体毛は針のように鋭く、五メートルはあろう体長を黒く染め上げている。顔も獣そのもので、とても人の言葉を操るようには見えない。その顔から生えている二本の牙は体毛よりも遥かに太く、人の体など簡単に食い千切ってしまいそうだ。



「後悔などするだけ無駄だ。命ですらつぐえない」



二本の牙の間から呪いにも聞こえる声が漏れる。



「フェンリー、生きているかい?」


ワルターは血反吐を吐きながら、隣に倒れているフェンリーに声をかける。


「ゴホッ! 今はなんとかな、元帥って生物的に化け物なのか?」


二人は全身を軋ませながら立ち上がる。



「はは、そういえばレヴィ元帥の戦っているところは見たことが無かったよ」

「そりゃよかったな。間近で見られてよ」


メディアが姿を消したためなのか、二人の頭が急に冴えてくる。


「そういえばなんでこんなことしてんだろな」


フェンリーがニヤリと笑う。


「さあね、でも今はそんな事どうでもいいじゃないか」


ワルターも剣を構える。



「フェンリー! 俺が注意を引く! その隙に君はゼロを!」


ワルターは剣に電気を帯びさせながら、レヴィに突っ込んでいく。


「死ぬんじゃねぇぞ!」


フェンリーは転がっている氷の固まりの方へと向かっていく。全く歯が立たず、吹き飛ばされていくワルターを横目に見ながら、ゼロが封じ込まれている氷に手をかける。



「まったく、どうしてこんなことしたんだろうな、俺」


フェンリーが念じると、ゼロを縛っていた氷は跡形もなく消え去る。



「こ、ここは……」



目覚めたゼロが最初に見た光景は、黒い化け物によって殺されそうになっているワルターの姿だった。


ゼロはすぐさま立ち上がり、レヴィに向かって弾を撃ち込む。


「ふん、目覚めたか」


ゼロの復活に直ぐに気がついたレヴィだったが、ゼロの攻撃を避けようともしない。鋼を越える強度をもつ体毛によほどの自信があるようだ。



「死ねフェンサー!」



ワルターに向かって拳を振り下ろす。が、その腕は途中で止まる。レヴィの体毛のわずかな隙間をゼロが撃ち抜いたからだ。


「何っ!」


レヴィはバランスを崩し、地面に叩きつけられる。もともとメディアがいなくなったことで不安定になっていた空中の島は、その衝撃によって大きく体勢を崩す。


そして、猛スピードで落下していった。



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