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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
276/621

episode 276 「僕の場所」

ガイアはジャンヌの予想通り海の上にいた。もちろん目的地はテノンだ。


「レイア、無事でいてくれ」


レイアと別れてから既に一週間以上が経過している。ヴィクトルたちと共に行動しているからといって、全く安心は出来ない。出来るだけ早く彼らと合流し、安否を確かめたかった。


だが、彼らと合流できたとしても安心は出来ない。彼ら戦僧の仲間であるセルバを、ガイアは殺害してしまっているのだから。




一方その頃、レイアが捕らえられているメイザース大神殿では、メイザースがレイアに触れようと必死でもがいていた。


「くそっ! くそっ! くそっ! こんなに近くに居るのに!」


メディアの仕掛けた結界によって、メイザースはレイアの髪の毛一本にすら触れることが出来ない。苛立つメイザース。


「うらやましい、妬ましい、憎たらしい!」


レイアとメディアの口づけが頭に浮かぶ。


「くそがぁぁぁぁ!」


メイザースの叫びが神殿内で反響する。その反響を掻き消すかのように、神殿の扉が開かれる。



(チッまたヴィクトルたちか?)


「私は今、苛立っているんだ。死んでも仕方がない。それはお前のせいなのだから!」


メイザースは怒りのすべてを込め、最大出力で扉の方にエネルギー弾を放つ。直径一メートルはあるであろうその弾は、進みながらすべてを破壊していく。ヴィクトルがこの攻撃を受ければ、この世に存在した痕跡すら残らないだろう。




「ずいぶんな出迎えだな、メイザース」




低い、怒りに満ちた声がメイザースの耳に入る。


(この、声は……まさか)


エネルギー弾は侵入者に確かに命中した。だが、侵入者の姿はそのまま残っており、見たところダメージは服が弾けたぐらいだ。


一歩一歩と影が近づいてくる。


(私の攻撃をものともしないこの強さ、そしてこの世界すべてを覆い尽くしそうな怒り、間違いない……)



「久しいな、メイザース。千年ぶりくらいか?」

「レヴィ……兄さま」



現れたのはレヴィだった。弾けとんだ服のしたから血だらけの肉体が露になる。無論、彼自身の血ではない。彼が怒りを沈めるために行った大虐殺の被害者のものだ。


「な、なんのご用で?」

「何だ? 貴様、兄が弟に会いに来るのに理由が必要か?」


(ふん、心にもないことを……お前の目的は母だろう)


レヴィは魔女の死体の元へと向かった。そこには確かに魔女の死体があり、レヴィの怒りはようやく落ち着く。


「ああ、母よ。御息災で何よりです」


レヴィは魔女死体に膝まづく。


(しかし、あの男の気配は一体……)


魔女と同じ気配を放っていたムゲンの事を思い出すレヴィ。



「しばらくここに厄介になる。文句は無いな? メイザース」

「は、はい」



そう言ってレヴィはその場に腰かける。しかしそれをメイザースは黙って見過ごすことが出来ない。


「兄さま、そこから退いてください。ここは僕の場所です」


その言葉をレヴィも聞き流すことが出来ない。


「勘違いか? いま兄である俺に対して意見を口にしたようだが?」


レヴィから殺気が溢れる。しかしメイザースは一歩も引かない。



「僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ僕の場所だ」



狂ったように繰り返すメイザース。


「僕の場所だ!」


レヴィに襲いかかるメイザース。


「気でもふれたか。いやお前はこういう奴だったな」


余裕で受け止めるレヴィ。


「ずるいぞ! メディアもレヴィも! 母さんもレイアも僕のものだ!」


死に物狂いで突っかかってくるメイザースを蹴り飛ばすレヴィ。


「ぐぉあ!」


メイザースの小さな体は勢いよく壁に叩きつけられる。



「いいだろう睡眠前の運動だ。やろうじゃないか、千年ぶりの兄弟喧嘩を」



レヴィの体が変化していく。毛が伸び、牙が生えてくる。その姿はまさに魔物そのものだった。



「僕の場所だぁ!!」



メイザースも両手からエネルギー弾を放ちながらレヴィに飛び込んでいく。






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