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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
262/621

episode 262 「イシュタルVSムゲン」

ムゲンの殺気は、イシュタルに負けず劣らず溢れていた。帝国本部内の兵士たちは理由の分からない体の震えに怯え始める。


「ムゲン! 一体何をしている! 敵なのか、元帥殿が!」


ガイアも剣を抜く。この国最強の剣士二人を前にして、イシュタルはいたって冷静だった。


「今さら問答は求めん。儂に挑むということは、理解しているな?」



イシュタルはエクスカリバーを抜く。



「死を」



圧倒的な圧力が小さな部屋の中に溢れる。セルバはすぐさま力を使い、ガイアを掴んで気配を消す。


「せ、セルバ?」


(ついていけないな。まったく酔狂な男だ)


セルバは困惑するガイアを連れ、部屋を出る。



僅かに沈黙が流れる。ガイアが突如いなくなったことなど、今の二人にとっては些細なことなのだろう。



が、静寂は突如轟音に代わる。イシュタルがまばたきをした瞬間、ムゲンの剣が空を切る。




ムゲンの強さの秘訣は、圧倒的な初撃の速さにある。ムゲンの居合いを見切ることが出来る者はおそらくこの国、いやこの世界には存在しないだろう。


現にイシュタルも完全に避けることは出来なかった。腹に深手を負い、血が噴き出す。通常ならば勝負が決するほどの深手、だが、イシュタルの加護をもってすれば、かすり傷以下だ。



イシュタルの強さは、その右手にもつ全てを切り裂く剣、エクスカリバー。その右手に宿るすべてを支配する力、そして左手に宿る全てを癒す力。


勿論その事を知っているムゲン。回復させまいと追撃の手を緩めない。



「さすがは三剣士と言われるだけのことはある。だが、このイシュタル、まだまだ貴様らに遅れはとらん!」



気圧された。目の前にいるのは七十を越えた老人。それでもその迫力はいささかも衰えていない。それどころか凄みが増している。


傷を瞬く間に治し、今度はイシュタルが攻撃にまわる番だ。


素早さと攻撃に重きを置く分、その体の線はか細く、イシュタルの一撃を浴びてしまえば即戦闘不能と成りかねない。


二人の戦いの騒音は、次第に他の兵士たちを引き付けていく。いつの間にか部屋の外はたくさんの兵士で溢れていた。


それでも中に入ろうとするものは誰もいない。それほどまでに中からにじみ出る殺気と熱気はすさまじかった。


やがてそれは一般の兵士だけではなく、上層部の人間までもを呼び込む。



「お前たち、何をしているんだ」



聞きなれない声に振り返る兵士たち。そしてその現れた男を見て誰もがあわてて敬礼をする。


「げ、元帥殿!」


現れたのはイシュタルと同様の帝国最強戦力の一人、レヴィ元帥だった。



部屋の中では明らかに戦いが繰り広げられていた。


(一人はイシュタル、だがもう一人は誰だ? 彼とまともに戦える人間がそうそう居るとは思えないが)



外で静観していたセルバはレヴィの姿を確認したとたん、表情が強ばる。


「セルバ?」


明らかに様子がおかしいセルバに声をかけるガイア。


「……奴だ」

「何?」


セルバは隣にいた兵士の腰から剣を抜きさる。


「奴が魔の血族だ!」



セルバは無防備なレヴィの後ろから斬りかかった。






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