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スティールスマイル  作者: ガブ
第一章 ゼロとレイア
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episode 26 「悩殺」

ニコルの命令を受けて一斉に行動を開始する盗賊たち。いずれも目は虚ろだが、以前よりも統率がとれておりまるで機械のように行動する。


ゼロたちは岩の影に隠れていた。合流はしたもののレイアはそっぽを向きゼロと視線を合わせようとはしない。



「私はわかってる。操られていただけ。」


ケイトの励ましもゼロの耳には届かなかった。



「レイア、聞いてくれ。」



「聞きません!操られていたら何をしてもいいというわけではないです!そもそも操られていたかどうかすらわからないのですから!」



レイアは聞く耳を持たない。仕方無くゼロは現状を打破すべく考えを巡らせる。


敵は約30人。一人一人の力は大したことはないが、集まると面倒だ。レイアを狙われでもしたらひとたまりもないだろう。ケイトもおそらく相手にできて3人が限界。


そんなことを考えていると一人の盗賊がこちらに向けて襲いかかってきた。その盗賊に気づいて一人、また一人と人数を増やしてやってくる。


ゼロは盗賊たちの足を狙い弾を発射させる。命中した盗賊たちは次々に倒れ、それを素早くケイトが縛り上げる。



レイアはゼロに好き勝手文句を言っておきながら、何もできない自分に嫌気がさしていた。



「ゼロさん。」


神妙な顔つきのレイアに戸惑うゼロ。


「何だ?」


「わたくしを殴ってください。」


更に戸惑うゼロ。しかしレイアは至って真剣だ。


「頭では解っているんです。でも、どうしても嫌な感情が沸いてきてしまって、あなたに暴力を振るってしまいました。申し訳ありません!」


深々と頭を下げるレイア。


「あの時お前が来なければ俺は完全に意識を失っていただろう。感謝する。それに謝るのは俺の方だ。俺はお前を守ると約束した。その約束を破ってしまうところだった。済まない。」



いい雰囲気の二人を、盗賊を縛りながら遠目に見るケイト。


「・・・ずるい。」






「全く、役に立たない連中ね。」




ニコルの声が響き渡る。その声を聞き、縛られ動きを止めていた盗賊たちが再びモゾモゾと動き出す。


「ニコル、俺はもうお前の術になどに惑わされない。諦めろ。それでもまだ俺に構うというならば、相手になる。」


ゼロはニコルに向かって銃を向ける。その目はまっすぐニコルの方へ向いていたが、もうニコルの色香に惑わされることはなかった。


「あら、自意識過剰ね。私は別にあなたに固執しているわけではないのよ?ただムカつくのよ。ストレス発散させてちょうだい。」



ニコルが高々と手をあげる。それを合図にして盗賊たちが叫び出す。すると固く縛られていたケイトの縄をちぎり、再びゼロたちに向けて動き出す。無理やりちぎったため腕に縄が食い込み、血だらけの者もいる。しかし全く怯むことなく突き進む。



「殺さずに動きを止めるのは難しいか。」



縄に手をかけ、ヤル気満々のケイトとレイアを引っ張り逃げ出すゼロ。



「逃げる気?この私から?恥ずかしがってるの?」


追ってくるニコルに向けて一発の弾丸が発射される。それはニコルの頬をかすめ、彼方へと消える。



「勘違いするな。お前などいつでも殺せる。だがな、俺はある女に誓ったんだ。もうお前を悲しませないと。」



ゼロを見つめるレイア。


ゼロは立ち竦むニコルを鋭くにらみ、岩場を後にした。




ニコルは滴る自らの血をペロリとなめる。


そして落ちていたサーベルを拾い上げ、近くにいた盗賊の首をはねる。



「ふふ、ははは。やっぱりいい男。ゾクゾクするわ。」




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