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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
258/621

episode 258 「黙祷」

「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」



ハデスはバキバキになった腕に命を振り絞る。体の全エネルギーを右腕へと移動させる。ハデスの膨れ上がった筋肉がしぼみだし、右腕を回復させていく。



「バカな! 貴様が生きていられるはずは!」



明らかな動揺を見せる魔女。


ルインはその様子を見つめていた。比較的ダメージが少なかったルインは、持ち前の回復力をすべてハデスに向かって使用していたのだ。


(いきやがれぇぇ!!)


心のなかで叫ぶルイン。


気がつけば、ハデスの腕は元の倍以上に膨れ上がっていた。



(まずい! 体を維持できない! 動きが鈍い! 避けきれない!)



突進してくるハデスの姿は象どころかまるで恐竜だった。


次の瞬間、生命史上最大の一撃が生命史上最強の生物に繰り出された。



「hpbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbb!!!!!」



魔女の雄叫びにもにた悲鳴が大地を震わせる。吐血に次ぐ吐血。体の中に存在しているすべての血液を撒き散らしながら飛んでいく魔女。飛ばされていくうちにどんどん体積が小さくなっていく。



「覚えておけ人間! 殺してやる! 滅してやる! お前だけではない、この世界そのものをだ!」



魔女はハデスに罵詈雑言を浴びせながら消えていった。


ハデスと、何とか起き上がったルインの二人は孤独に戦った一人の少年の亡骸を抱える。


「また助けられちまったな」


ルインは顔を真っ赤に腫れ上がらせながら、その少年に向かって涙を流す。


「思い出した。あの時もお前が……」


ハデスも少年の満足そうな死に顔を見て心を痛める。



魔女が消滅したことと関係があるのか、他の少年少女たちも次々に目を覚ました。そしてハデスとルインとその腕の中の少年の姿を見たアスラはすべてを悟った。


「行こう。あいつが一番好きだった場所へ」


アスラたちは英雄を海の見える丘へと運んだ。



「俺とこいつは幼馴染だ。昔はよくここで遊んだ」


みんなを心配させまいと決して涙を流さなかったアスラの目には、確かに一粒の光が流れ落ちていた。


「行きたかったんだろう? あの先へ」


アスラたちはそこに墓を作った。


「人類は淘汰された。だが、滅んだわけではない。それは世界も同様だ。人はやり直せる。それに、きっとどこかで生きているかもしれないしな」


十人は墓の周りをとり囲む。



「世界は俺たちが守る。幸い力も手に入れたしな。だがら、安心して眠れ。アレス」



皆は墓に黙祷を捧げる。そして全員が崩れ、泣き続けた。



アスラの言うとおり、人は逞しかった。どこに隠れていたのか、どんどんと数を増やしていった。


しかし、魔女もしぶとかった。魔女自身は消滅したものの、自分の子供たちを世界各地に出現させていた。



そしてそれから二千年後、アスラたちと魔女の血族は再び合間見える事となる。またしても世界を巻き込みながら。




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