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スティールスマイル  作者: ガブ
第六章 神々との戦い
254/621

episode 254 「眷属」

アスラらの元に戻ってきたハデス。数百年ぶりの再開を喜ぶ彼らだったが、どこかその表情は暗い。ハデス自身も心にポカンと空いた穴を感じていたが、それが何かまでは分からない。


「良かった……ハデスまで」


モルガナが何かを口走ろうとする。その口を押さえるルイン。


「しかし、みんな変わっちまったな」


ルインの言うとおり、彼ら自身に変わりはなくとも、彼らの姿とその力には大きな変化が生じていた。



まずはみんなのリーダー格、アスラ。その頭からは捻れた角が生え、背中からも天を指した角が無数に生えている。見た目的にはまるで悪魔のようだった。小さく痩せ細っていた体は成人男性のように変化し、今の彼を見て貧弱だと笑う者は一人も居ないだろう。



男性陣の中では一番年下のネス。顔を始め、体全体に斑点模様が浮かび上がっており、それを隠すために全身に包帯を巻いている。目まで覆っているのだが、なぜか周りの風景や気配を完全に感じとることが可能となっていた。



もともと長身だったスサノオは更に身長を伸ばした。穏やかな目付きは鋭く尖り、時折体に電流のようなものが走っている。その影響か彼の金髪は固く針のように変貌し、天を突き刺していた。



一番変化が見られなかったのはアテナ。もとからあまり目立たない少女だったが、それは今も変わらない。だがその素朴な見た目とは裏腹に、内に秘めた正義感は更に強さを増していた。世界を守りたい、それを一番強く想っているのは彼女かもしれない。



魔女が殺した人間の成れ果てに触れ、数百年もの間孤独に耐え続けたハデス。彼の肉体はとうに人間の限界を越えており、未来永劫彼以上の肉体を手に入れる者は現れないだろう。



ハデスと同様に物理的な力の限界を越えた少女、ルイン。その細い腕から放たれる攻撃は、人間の体を容赦なく破壊する。また、それと同時に多少の傷なら瞬く間に回復する治癒力も身に付けており、肉弾戦で彼女と渡り合えるのはハデス位なものだろう。



艶やかな黒髪は白く変色し、彼の左目は目としての役目を終えた。ホルスの左目はいわゆる魂の在りかが映るようになっており、死者とのコンタクトがとれるようになっていた。だが、魔女によって殺された人々の魂は、結局見つけることが出来なかった。



ミカエル、彼の背中からは立派な羽が生えていた。アスラと同様に彼の肉体は子供のそれを遥かに凌駕し、並大抵の大人では太刀打ちすることもできないだろう。その見た目は神々しさすら感じ、アスラとは対照的にその見た目は天使のようだった。



女性陣の中で一番年上のルナ。彼女の体は何故か重力の影響を一切受けておらず、それどころか空を自由に飛び回る力を身に付けていた。おそらく重力を操る力を身に付けたのだろう。



そして一番年下のモルガナ。一番の変化を見せたのは彼女だった。地上に上がった時の彼女は知識の欠片も持たない子供だったが、魔女に攻撃を受けてからは何故か無限に等しい知識を有していた。魔女だけが使える魔術の片鱗も見せており、心身共に一番魔女の影響を受けていた。



故に、答えを最初に導きだしたのはモルガナだった。



「私たちの体の中に、魔女の力の一部が流れ込んできてる。私たちは魔女の眷属になっちゃったのかも?」


暗い顔で話すモルガナ。


「するとなにか? 俺たちは魔女の仲間ってわけか?」


ハデスが聞き返す。


「いや、それは無いだろう。現に私は今も魔女に対する怒りを抑えられていない」


アテナがキリリとした表情で答える。皆もアテナ同様に魔女の仲間としての意識は無かった。



「きっと魔女の攻撃に耐えられ無かった者、眷属になってしまった者があれなのだろうな」


アスラが黒体を指差す。


「そうだな、なら葬ってやらないと」


ハデスは黒体を殴り付ける。以前とは違い、黒体に触れてもなんの影響も無いハデス。黒体はハデスの攻撃に耐えきることができず、そのまま消滅した。



「……そうだな。眷属ということは、魔女が現れれば私たちの驚異となるかもしれない。今のうちに消しておくべきだろう」


アテナもそう言って黒体の排除に名乗り出る。


アスラたちは手分けして元人類の排除を始めた。



それから約一年。その時は訪れた。誰もが心待にしていたこの時。前とは違い、力もある。充分に対抗できると感じていた。



「pzb、zbibsjpnbfubujlb」 (おや、やはりお前たちか)



黒体消滅の原因を探るべく、魔女が闇を引き連れやって来た。




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