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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
242/621

episode 242 「魔女」

帝国軍中将ジャンヌ・ヴァルキリアは、組織最強の殺し屋アーノルトとの戦いを終え、帝都への帰路についていた。


(やっぱりあのクナイには何かあったのね……まさか半日も気絶しているなんて)


アーノルトが預言者マリンから受け取ったクナイ。神にも近い力を得たジャンヌだったが、そのクナイを体に刺されたとたん急に力を失い、気絶してしまった。原理はわからないが、恐らくあのクナイにも七聖剣のように何かしらの加護があったのかもしれない。



まだうまく歩くことができない。ジャンヌは悔しさを顔に表す。


「元帥に何て報告すればいいのかしら? 部下を全滅させて任務も失敗するなんて。まぁガイアは生きているでしょうけど……」


ジャンヌがつれていった部下は十数人。そのうち何人かは組織の殺し屋、ゲイリーやヴァベルによって殺され、恐らくミカエルが起こした衝撃によって残りもほとんど死亡してしまっただろう。


「ローズとリズを連れてこなくて本当によかった」


もし二人が巻き込まれていたらと思うと、ジャンヌはいてもたってもいられなくなった。


ジャンヌは憂鬱な気分になりながらミカエルの事を思い出す。姿を見たことは無かったが、あれは明らかに一つ上の次元の存在だった。自分がアテナの子孫でなければ十闘神が実在することなど信じてはいなかったが、あれによって確信した。



神はいると。



(しかし困ったわね。あんなのがまだ九人も居るなんて……ちょっとまって、十闘神が伝説でないならまさか魔女も実在するの!?)



魔女。それは誰もが恐れる存在。なぜならこの世界は一度魔女によって破壊されたのだから。



この世界にすむ人々は皆、子供の頃に読み聞かされる本がある。十闘神物語。神が世界を創ったお話だ。



この世界は二千年前、一匹の魔女の襲来によって絶滅の一途をたどった。魔女は人知を越えた異能の力で人々を蹂躙していった。抵抗すれば死、投降しても死、人々の運命は死のみだった。


そんな中、魔女に立ち向かった子供たちがいた。彼らこそが後の十闘神である。彼らは魔女の力に触発され、異能の力に目覚めていた。


億を越える犠牲と引き換えに彼らは魔女を退けた。そして残った異能の力を人々に分け与え、世界を作り直したのだ。





(あの本、二千年前の話が本当だとするなら……いえそもそも神の子孫である私がいるのが何よりもの証拠。居る、どこかに必ず、魔女の血族も)


ジャンヌはこの件をイシュタル元帥に報告するべく、全速力で帝都を目指す。





大神殿。メイザースが恍惚な表情で祭壇を見つめている。メイザースが指をパチンとならすと、祭壇はまっぷたつに割れ、地下へと続く階段が現れる。



階段を下りていくメイザース。降りた先には墓……ではなく昏睡状態の人間たちだった。人間たちはメイザースが加護をちらつかせ、連れてきた信者たちだ。信者たちは体から少しずつ何かが漏れだしている。それは地下にある本当の祭壇へと注がれている。




「もうすぐだよ、ママ。もうすぐ会えるね」




祭壇にはひとつの塊が置かれていた。塊は生きているようで、ドクンドクンと鼓動が聞こえる。


「ママ、兄弟たちも行動を始めてるんだ。きっとまたみんな揃う。そして殺ろう! 神だと偽るガキどもを! そして滅ぼそう! この世界を! 」


メイザースの言葉に塊は嬉しそうに動く。世界の終焉が始まろうとしている。



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